亀山早苗の恋愛コラム/亀山早苗の恋愛情報

不倫・浮気を我慢することは美徳なのか?(2ページ目)

東京で昨年起きた、妻による夫殺し。原因は、36年前の夫の不倫だった。当時、我慢した妻は、介護をしている夫からその不倫の話が出たとき、耐えがたくなったようだ。我慢していいことなど、なにもない。当時、妻が怒りを抑えたのはやむを得ないが、あのとき本気で怒っていたら、こういう事態になっただろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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いつか復讐してやる

AngelBeat

感情を押し殺し続けた妻の心の闇はどこへ向かう?(c)AngelBeat

夫に浮気された妻に取材をしたことがある。その時点で怒りを爆発させた妻たちは、「次にやったら、もっとひどい制裁を加える」と勇ましかった。
だが、浮気が発覚したにもかかわらず文句を言いたくも言えない、ここで家庭に波風を立ててはいけない……と我慢してしまった妻たちは、表情がすぐれない。
「いつか復讐してやるつもりでいます」
「夫の足腰が立たなくなったら、じわじわと意地悪してやるつもり」
「老後に何があるか覚悟しておけと夫に言いたい」
などと暗い表情で言っていた。

実際、「今、復讐している」と話してくれた妻もいる。彼女は60代。70代の夫は、病後のリハビリ中で、手を貸せば歩いてトイレに行けるくらいの状態。
「でも私、ときどき息抜きに出かけるんです。出かけるときは、夫の枕元から少し離れたところに水やティッシュを置いておく。夫が無理して布団から這い出せば取れるかもしれないくらいの位置。でもたいてい取れないみたいですけどね」

数年前に聞いた話だが、そのときの彼女の表情が今も忘れられない。自嘲的な、だが憎しみに満ちた顔だった。やはり若いときに夫が浮気をしたのだそうだ。夫の両親に相談したが、「そのくらい我慢しなさい」と言われた。子どもたちのためにも、何ごともなかったかのように振る舞うしかなかった。だが、確実に憎しみは育っていったのだろう。
「嫌な女でしょ、私」
最後にそう言ったときの彼女は、せつない表情に変わっていた。

我慢していいことなど、なにもない。
これは結婚生活にだけあてはまることでもないと思う。恋人同士でも友だち同士でも、「いい人だと思われたくて」我慢していたら、いつか心の中の黒い影は実体となっていく。
感情を押し殺していると、いつしかどういう感情を持っているのかさえわからなくなる。

ネガティブな感情を出すと、恋人や夫に嫌われるかもしれない。そんなふうに思って我慢してしまう女性は、今も少なくないと思う。だが、感情を封印することがどれだけ危険か、この事件が私たちに教えてくれているような気がしてならない。
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