ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

Star Talk Vol.23 東山義久、道無き道を切り拓く

その鋭いダンスと男性的な声を持ち味に、ダンス公演からミュージカルまで、幅広く活躍中の東山義久さん。今年10回目を迎える玉野和紀さん演出のショー『CLUB SEVEN』には第二回から出演を重ね、この春の最新版では4回目のシリーズ参加となります。本作の魅力や自身が受けた影響、またユニークなその来し方と今後の抱負を伺いました。*観劇レポートを追記しました!

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

東山義久undefined大阪府生まれ。99年にミュージカル『Shocking Shopping』でデビュー。『エリザベート』トート・ダンサーで注目を集め、05年『レ・ミゼラブル』にアンジョルラス役で出演。ほか『ALTAR BOYZ』『ニジンスキー』『ちぬの誓い』等に出演の傍ら、自身のグループDIAMOND☆DOGS公演も積極的に行っている。(C) Marino Matsushima

東山義久 大阪府生まれ。99年にミュージカル『Shocking Shopping』でデビュー。『エリザベート』トート・ダンサーで注目を集め、05年『レ・ミゼラブル』にアンジョルラス役で出演。ほか『ALTAR BOYZ』『ニジンスキー』『ちぬの誓い』等に出演の傍ら、自身のグループDIAMOND☆DOGS公演も積極的に行っている。(C) Marino Matsushima

*6ページに『CLUB SEVEN』観劇レポートをUPしました!*

雄々しさと色気を兼ね備えた声を活かし、『レ・ミゼラブル』のアンジョルラス、『ちぬの誓い』の不動丸など、頼りがいのあるリーダー役を魅力的に演じて来た東山義久さん。いっぽうでは切れ味鋭いダンスでダンサーとしても活躍、パフォーマー仲間と立ち上げたグループDIAMOND☆DOGSで精力的に公演を重ねています。

最新作の『CLUB SEVEN 10th stage!』は、彼がパフォーマー活動を始めたごく初期から縁があり、尊敬する玉野和紀さんの作・演出ショー。今年10回目の公演となりますが、東山さんは第二回、第五回、第七回公演に出演、今回が4回目の出演です。彼にとって『CLUB SEVEN』はどんな演目であり、また今回はどんな舞台になりそうでしょうか?

“ありえない”を“アリ!”へと次々変えてゆくエンタテイメント・ショー、『CLUB SEVEN』

――東山さんは04年、第二回公演から『CLUB SEVEN』に出演されています。どういう経緯があったのでしょうか?
『Club Seven 10th Stage!』

『Club Seven 10th Stage!』

「ある舞台を観に行ったとき、出演していた知人の楽屋に挨拶に行ったら、“東山君じゃないか”と急に呼び止められたんです。“誰だこの人?”と思ったのが、玉野和紀さんでした(笑)。玉野さんはそれ以前に僕の出ていた舞台を観て、(西村)直人さん、(吉野)圭吾さん、それに僕とショーをやりたいと思って下さっていたようなんです。“今度一緒にやろうよ”と言って下さったのがきっかけで、第二回から何回か出演させていただいています」

――例年ですと、『CLUB SEVEN』は1幕では出演者がかわるがわる歌やダンスを交えながら時におかしく、時に真面目なシーンを展開し、2幕はミニ・ミュージカルと、100曲近いナンバーをみんなで歌いつないでゆく、怒涛の「50音順ヒットメドレー」…という大まかな枠組みですね。

「はい。1幕は、玉野さんは“スケッチ”と呼んでいらっしゃいますが、子供の格好をしてタップを踊ったりとか、各シーンで面白いことをやっていますね。2幕はミニ・ミュージカルで始まりますが、これまでに僕が出た時は踊りが主体のミュージカルになっていたことが多いです。ただ、今回は現時点ではまだ台本をいただいていないのですが、もう少し歌やお芝居が入ってくるように聞いています」

――前回の出演舞台(11年の第四回公演)を拝見しましたが、東日本大震災の翌月の公演、感慨深さもひとしおだったのではないでしょうか。

「そうですね。ちょうど日比谷の稽古場で、振りを稽古しているさなかに地震があって、その後は日本中が喪中のように、悲しみに包まれてしまいました。そんな中で、玉野さんは“こういう時だからこそ、笑いが大切だ”とおっしゃって、僕らも観に来て下さる方がほんのいっときでも楽しんでいただけたら、と思ってやらせていただきました。ライブステージはテレビと違って、お客様が足を運んで下さらないと成立しないエンタテインメントであることを痛感したりと、いろいろなことを考えた公演でもありましたね」

――毎回、様々なアイディアが飛び出しますが、すべて玉野さんによるものでしょうか?

「玉野さんは『CLUB SEVEN』をライフワークとおっしゃっていて、いつもネタ帳を持ち歩いては面白いと思ったことを書き溜めていらっしゃるらしいです。その中から、これをこのメンバーでやってみたら面白いんじゃないかというのを稽古場で提示されます。もちろん振付も玉野さんがなさるのですが、ステージングなどは僕らに自由にさせてくださって、細かいところを“ここはこうしたら”“それ、面白いから採用!”と決めて下さる。だから一緒に作っている部分もありますね」

――例えば第七回公演では、東山さん演じるマイケル・ジャクソンの“空耳アワー”(日本語のように聞こえる洋楽の部分を、映像をつけながら披露する、テレビ番組『タモリ倶楽部』の人気コーナー)的な場面がありました。あのネタだと、まずは東山さんが“マイケルになりきって踊る”というテーマが提示されるわけですね。
『Club Seven 7th』よりundefined写真提供:東宝演劇部

『Club Seven 7th』より 写真提供:東宝演劇部

「そうですね。マイケルのダンスと、彼の歌の特定の部分が日本語だとこう聞こえるというのを組み合わせるネタがあって、それを義久がやるんだよと言われたんですが、最初は“できないです”と言ってしまったんですね。もちろんマイケル・ジャクソンは知っているし好きではあるけれど、彼の振りは全部覚えているほどのめりこむような大ファンというほどではなかったので。

でも“素顔の、飲み会的なノリでいいんだから”とおっしゃっていただいて(笑)、思いっきりやらしていただきました。“飲み会”というと誤解されるかもしれないけれど、つまりはふだん僕らが舞台の上でやらないようなこと、考えもつかないようなことをやってみる、ということなんですよね。玉野さんからはその都度“義久はこんなことをやると面白いよ、似合うよ”という提案をしてくださるので、新しい自分を発見できてとても楽しいです」

*次頁では東山さんにとっての玉野和紀さん、そして今回の公演の抱負を伺います!
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