胃もたれの改善はストレスのスパイラルからの脱出が鍵
先にもお伝えしたように、胃もたれにはストレスが深く関与していると考えられます。ストレスが身体に加わった時、人間は身体を丸める動きをとりやすくなります。例えば胃が痛い時には自然と身体を丸めますし、机の角に小指をぶつけた時も基本的には身体を丸めるでしょう。これは屈曲反射と言って、何らかの身体を脅かすような事象に対して身体を丸め防御しようとする原始的な反射によるものです。この時に強く働く筋肉を考えてみると、お腹の筋肉である腹直筋が挙げられます。腹直筋は下部の肋骨から骨盤帯まで走行している幅広い筋肉であり、姿勢の保持や腹腔内圧の調整に深く関与しています。
ここで一つ試してみていただきたいのですが、何かストレスを感じる状況を想像して見て下さい。この時、お腹を触ってみるとどうでしょうか?腹筋運動をしているわけではないのに勝手に力が入っていることを感じる方が多いのではないでしょうか?これは先にも述べたように侵害刺激に対して屈曲反射が発現している状態と考えられますが、知らず知らずのうちにこうした筋緊張の高まりが身体に起きているわけです。
この腹直筋は体幹を曲げる役割をしていますが、持続的に働くと身体を丸めたいわゆる不良姿勢を呈するようになります。こうなると内蔵が圧迫され血液循環が低下するなどの状態が身体に発生し、結果として胃腸にストレスを与える原因となるという、負のスパイラルが発生してしまうのです。
胃もたれの改善に効果的なツボ
こうした身体の状況を改善するためには、腹直筋をリラックスさせるツボが効果的と考えられます。
胃腸のあらゆる症状に効果があるといわれる建里
建里(けんり)は腹直筋上に位置し、へそとみぞおちのちょうど真ん中から親指の太さ1本分下にあります。東洋医学では胃腸の養生のために利用されています。痛みを感じない程度に優しくマッサージをしてみましょう。
天枢をマッサージし腹直筋をゆるめ胃腸の症状を改善する
へその外側、親指の太さ2本分のところにある天枢(てんすう)。こちらも腹直筋上にあり、同様に胃腸のあらゆる症状に効果的とされています。同じく痛みを感じない程度にマッサージしてみましょう。
これらのツボを押した後に、ゆっくり鼻から息を吸い、口から吐き出してみると、呼吸がしやすくなっていることを感じられると思います。腹式呼吸がストレスを和らげる効果があることはよく言われていますが、こうしたツボを使いお腹の筋肉を緩めることで腹式呼吸が行いやすくなり、さらにその効果が増すと考えられます。
もちろん医療機関で適切な診察を受けることも大切ですが、こうしたツボを利用して身体の状態を少しでもよくしてあげることも症状を改善するうえでは大切なのではないでしょうか。