ツボ・経絡

東洋医学からみる貧血を知って症状を改善する!

ダイエットや食生活の乱れとも密接に関係がある貧血。その原因は様々ですが、その多くが鉄欠乏性貧血であると言われています。今回は、貧血の種類とその原因、食生活との関わりを踏まえ、東洋医学から考える貧血とその対処法についてご紹介します。

山木 伸允

執筆者:山木 伸允

鍼灸マッサージ師 / 鍼灸療法・ツボガイド

 貧血の種類とその原因

貧血と一口に言っても様々な原因が存在します

貧血と一口に言っても様々な原因が存在します

忙しいために朝食をとれない、ダイエットで食事制限をしている、といった方に気をつけていただきたいことの一つに貧血があります。

貧血とは、赤血球あるいはヘモグロビンの量が正常より少なくなった状態のことを指します。血液の働きで最も重要な仕事は酸素を全身に運搬することですが、この役目は血液中の赤血球にある血色素(ヘモグロビン)が担っています。貧血による症状は、ヘモグロビンが減少し血液が酸素を運搬する能力が低下してしまうことに起因しているのです。

私たちの活動は酸素と栄養素をエネルギー源としており、貧血により酸素の運搬が十分に行われなくなると、身体の様々な組織が酸素および栄養不足になり、さまざまな症状が身体に発生します。代表的なものでは疲労感、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、頭痛、顔面蒼白、耳鳴り、集中力低下などが挙げられます。

その原因は一つではなく以下のように栄養状態や身体の状態などにより様々です。

■鉄欠乏性貧血
  • 鉄摂取量の不足
    欠食・偏食、無理なダイエット、外食・インスタント食品の多食などの食生活の乱れ等の原因により、鉄や栄養素が不足します。
  • 鉄需要の増加
    妊娠・授乳期は胎児の成長や母乳分泌に鉄が多量に消費されるため鉄不足が発生します。また、女性の場合、思春期に起こる急激な身体の成長により血液量が増加し、鉄不足が発生することもあります。
  • 過剰な鉄損失
    女性の場合は月経(生理)過多が主な原因となります。それ以外には、潰瘍、痔、ガンなどによる消化管からの出血が原因で発生します。
  • 吸収障害
    胃切除などにより胃酸の分泌が不足し、鉄の吸収が障害されます。

■悪性貧血

赤血球の生成に必要とされるビタミンB12の吸収には胃液が必要ですが、胃切除のような場合には、胃酸分泌が低下し、吸収できなくなり欠乏が起こります。胃切除後およそ5年を経過すると体内に貯蔵されていたビタミンB12が枯渇して発症します。

■巨赤芽性貧血
葉酸はビタミン12と併せて赤血球の生成に必要とされる栄養素ですが、これらが不足することで発生します。

■再生不良性貧血
血液をつくる骨髄の働きが低下するために起こる貧血です。赤血球を含むすべての血球が作られなくなる病気です。

■溶血性貧血
赤血球の寿命は約120日ですが、赤血球がなんらかの原因で破壊されて発生します。溶血性貧血では皮膚や目が黄色くなるのが特徴であり、黄疸と勘違いされることもあります。赤血球が破壊される原因として、足底に繰り返し衝撃が加わることが挙げられます。長距離走の選手やバスケットボールなどのように頻回に足裏に衝撃が加わるスポーツを行う場合は注意が必要です。

以上のように一口に貧血といっても、その原因は多用であり、様々な身体の状態が原因となって発生していることがわかります。

 

最も多いタイプ貧血とその原因・対処法

貧血の原因として最も多いものは鉄欠乏性貧血で、全体の60%~80%を占めていると言われています。鉄欠乏性貧血はほとんどの場合食事習慣が原因となっており、食事療法が有効な治療手段となっています。

では、鉄欠乏性貧血を防ぐために鉄はどれくらい摂ることが必要なのでしょうか。赤血球の寿命は約120日であり、毎日少しずつ古くなった赤血球が破壊され、新たな赤血球が生まれています。このサイクルでは1日約1mgの鉄が消費されると考えられていますが、女性の月経時などは1日あたりさらに約0.5mgの鉄が消費されていると言われています。

こうして消費される鉄を補うには、先ほども述べたように食事から摂取することになるのですがこの時に知っておきたい事として、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄はレバーやあさりなど動物性食品に多く含まれ、非ヘム鉄は野菜など植物性食品に多く含まれています。

体内での吸収率を考えると「ヘム鉄」の吸収率は10~20%であり、「非ヘム鉄」は2~5%程度と言われており、同じ鉄分を含む食材を摂る時でも動物性のものか植物性のものかを考えた方が良いと思われます。また、食べたぶんがそのままの量吸収される訳ではないことが分かります。

以上のように鉄の損失量とその体内での吸収率を考えると、私達が1日の食事から摂取するべき鉄の量は成人男性で7.5mg、男子高校生で9.5mg、月経のない女性で6.5mg、女子高校生や月経時の女性では11mg程度と考えられます。

様々な貧血の原因と食事との関わりをみてきましたが、東洋医学の世界における貧血とはどのように考えられ、対処されているのでしょうか。効果的なツボなどをご紹介していきます。

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