大学生の奨学金/申込み時や返済時の注意点・落とし穴

奨学金返済の注意点「返済猶予制度を理解すること」

メディアを通して奨学金の滞納問題を目にする機会が増えています。高校生の2人に1人が大学・短大へ進学する一方で、非正規雇用の増加など卒業後の返済への不安要因が大きくなった現在ではある程度は予想されたことでもあります。一方、ある調査では、奨学金利用者の半数以上が猶予制度の存在そのものを知らなかったことが判明しました。今回は、自身の危機管理ともいえる奨学金のリスク対策について解説いたします。

久米 忠史

執筆者:久米 忠史

大学生の奨学金ガイド

前回の記事では、奨学金を滞納した場合のペナルティーついて解説いたしました。

では、返済が苦しくなった場合はどうすればいいのか?
 

3種類の返済猶予制度

日本学生支援機構では、返済が苦しくなった人のための3種類の返済猶予制度を設けています。

これらの猶予制度の申請基準は昨年までは、給与所得者で年収300万円以下、給与所得以外の人で収入200万円以下とされていましたが、今年度からそれ以上の収入がある場合でも対象となるように採用基準が緩和されました。

解説画像

日本学生支援機構 「返済猶予制度」


■返還期限猶予
1年を限度に奨学金の返済を待ってもらう制度。1年ごとに申請することで通算10年まで延長が可能です。

返還期限猶予の延長期間は昨年まで5年間が限度でしたが、今年度から10年間に緩和されました。

■減額返還
月々の返済額を半額にして、2倍の期間で返済する制度。この制度も1年ごとに申請することで最長10年まで延長が可能です。

■所得連動返還

家庭の収入が一定基準以下の学生は、卒業後、奨学生本人が一定の収入を得るようになるまでは、期限を設けずに返済を待ってもらう制度。

所得連動返還の対象となるのは、第一種奨学金の採用者のみであり、第二種奨学金や入学時特別増額貸与奨学金は対象外となっています。

したがって、第一種と第二種の併用貸与を利用した場合、第一種は無期限の返済猶予となっても、第二種は返還期限猶予や減額返還などの有期限のものとなるので注意が必要です。

では、実際、奨学金を借りている大学生の認識はどの程度なのか、少しショッキングなデータを紹介したいと思います。

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