3階建てで二世帯住宅を建てることのメリット
3階建てで二世帯住宅を建てることのメリットは、大きく分けて2つあります。1つめは、床面積を広くとれることです。
二世帯住宅は居住者が多くなるので、その分、広さが求められます。狭い土地でも広く建てられる3階建てはこういったケースにぴったりで、希望通りのプランが実現しやすいという側面があります。
2つめは、階数が多くなるため、各世帯の独立性を高められることです。
フロアが異なることで、親世帯、子世帯空間それぞれのプライバシーを確保することができるでしょう。
デメリットの「縦移動」は、工夫次第で軽減できる
一方、デメリットとして挙げられるのは、階数が多くなり建物が上に伸びるため、縦移動(上下移動)の負担が増えることでしょう。これについては、プランニングの初期段階から、暮らし方や生活習慣をよく考えて、負担を軽減させるための工夫をすることで解決できると思います。
縦移動解決のために私が時々ご提案するプランは、LDKのあるフロアに、ファミリークローゼットや家族ロッカーなどの収納を用意する、というものです。
3階建ての2階にLDKがある場合、このフロアに洗濯機置場とファミリークローゼットを設けます。そうすることで、「洗濯をする場所からベランダに移動して洗濯物を干す」→「乾いた洗濯物を取り込んで畳む」→「畳んだ洗濯物をしまう」という一連の動作がワンフロアで完結します。これにより、上下階に移動する負担を軽減できるというわけです。
3階建て二世帯の基本的ゾーニング
3階建て二世帯住宅は、家事動線をまとめるなどの暮らし方を工夫することで、二世帯がより快適に暮らすことができます。そのためには、3フロアのゾーニングをどうするか、そして、親世帯、子世帯、共用部分をどのようにゾーニングするかが鍵になってきます。3階建て二世帯住宅のゾーニングの基本パターンは4つあります。
【パターン1】 1階を親世帯が使い、2階3階を子世帯が使う
これが一番多いパターンです。
道路からのアクセスも容易な1階に親世帯が暮らすのは、加齢で足腰が弱くなった場合なども考えると、最も道理にかなったスタイルだといえるでしょう。
親世代の中には、なるべく地面に近いところに住みたい、あるいは庭が目の前にある暮らしがしたい、といった要望も多くあります。また、もし要介護となった場合でも、介護車両がすぐアクセスできることもポイントです。
ほかにも、将来的に賃貸化しやすいという側面もあります。
屋根を屋上にすることも可能です
パターン1の逆で、3階に親世帯が暮らし、1階と2階を子世帯が使うことになります。親世帯が、3階の日当たりのよい場所で暮らしたいという要望が強かったり、共働きの夫婦などで、子世帯が日中ほとんど家にいなかったりすると、このパターンが選択されることが多いようです。
この場合、階段だけだと1階にある玄関までの上下移動の負担が大きくなるので、ホームエレベーターを設置することが多くなります。また、庭にこだわりのある親世帯の場合は、3階で暮らしつつ、すぐ上の屋上に庭を設けるケースもあります。これも、屋上利用が可能なヘーベルハウスだから実現できるプランです。
1つの建物を、縦に二分割します。この場合、親世帯の縦移動が多くなってしまうので、ごく稀なゾーニングではありますが、建物を2つに分けることにより、世帯間の独立性は高まります。
この場合は、親世帯の敷地の中に建設するので、土地購入費用が不要の場合が多く、全体の予算が抑えられることが何よりのメリットです。
また、全く別の建物になるので、縦分割のパターンと同じように独立性も高くなります。
以上が3階建て二世帯住宅のゾーニングの基本パターンです。大まかな分類は、この4つになりますが、それぞれのパターンを応用したゾーニングもあります。
基本パターンを応用したゾーニング
【応用パターン1】 親世帯が1階と2階の一部を使う親世帯のスペースがワンフロアでは足りないため、2階の一部を使うパターンです。1階だけでは親世帯の日当たりがよくない場合など、部屋の一部を2階に設けたり、吹き抜けをつくることで1階に光を導き、日当たりをよくすることができるわけです。
また、物干し場など、家事作業の一部ができるスペースを2階に設ける場合もあります。
親世帯が1人の場合で、1階のスペース全てを使うには広すぎるというとき、このようなプランを採用することがあります。
1階全部に加え、「離れ」のように3階の一部を親世帯が使います。このケースでは、親世帯も、1階と3階のそれぞれのよい所を享受できるというメリットがあります。
親世帯にとっては、3階の良好な日当たりや眺望と1階のアクセス性のよさの2つのメリットを受けられます。また、3階に離れを設けた場合、1階とは環境が全く異なる場所を手に入れることになり、1つの住戸内で気分転換ができるという利点も得られます。このゾーニングの場合は、利用するフロアが離れているので、各階の移動にはホームエレベーターがあると便利でしょう。
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