司法書士試験/司法書士とは

司法書士試験の合格後の流れとは? (合格→研修→就職→開業)

司法書士試験の合格後の流れとはどのようなものなのでしょうか。司法書士試験の合格後の情報は、ネット上にはあまりありません。そこで、合格後から開業までの、研修・就職など典型的な例を挙げて説明します。合格後の流れをイメージしてみてください。

松本 雅典

執筆者:松本 雅典

司法書士試験ガイド

司法書士試験の合格後の流れ……開業まで

司法書士試験に合格後の流れとは

司法書士試験に合格後の流れとは


司法書士試験に合格するまでの情報は、ネット上に溢れています。しかし、合格後の情報はほとんどありません。司法書士試験の合格を目指している方の人数に比べ合格する方の人数が少ないため、あまりネット上に情報が出ないのでしょう。

そこで、この記事では、司法書士試験合格後の「合格から開業まで」の典型例をご紹介します。

なお、あくまで「典型例」です。「合格後にすぐに開業する」「合格後もそれまで勤めていた会社を退職しない」など、様々な方がいらっしゃいます。
その話は、司法書士の就職という記事に書きましたので、併せてお読みください。
 

司法書士試験の就職・開業までの流れ・典型例

都市部のほうがこの傾向は強いのですが、司法書士試験合格から開業までの典型的な過程は、以下のとおりです。

 
司法書士試験の合格後の進路(典型例)

司法書士試験の合格後の進路(典型例)

 

合格後の流れ1:研修を受講

司法書士には研修を受ける義務がありますので(司法書士法25条)、司法書士になる合格者は合格後に研修を受ける必要があります。時期は年度・都道府県によって多少異なりますが、ほとんどの研修が司法書士試験合格直後(最終合格発表は11月初旬)の12月から翌年3月にかけて行われます。

司法書士になるすべての方が受ける必要がある研修は、以下の3つです。

■中央研修(前期:12月初旬~1月中旬、後期:1月下旬)
前期(eラーニング研修・12月初旬~1月中旬)と後期(集合研修・3日間・1月下旬)に分かれています。

・前期中央研修(eラーニング研修・12月初旬~1月中旬)
パソコンやスマートフォンから受講するeラーニング研修です。
※平成28年度までは,東日本は茨城県のつくば、西日本は兵庫県の神戸の会場で研修が行われていました。しかし,平成29年度から、eラーニング研修となりました。

(参考)平成29年度の前期中央研修の日程
住所により以下のブロックに分けられ、ブロックごとに以下の期間内に受講する必要があります。
・関東ブロック:平成29年12月2日(土)~平成29年12月18日(月)
・中部ブロック・中国ブロック・四国ブロック・九州ブロック :平成29年12月19日(火)~平成30年1月4日(木)
・北海道ブロック・東北ブロック・近畿ブロック:平成30年1月5日(金)~平成30年1月21日(日)

・後期中央研修(集合研修・3日間・1月下旬)
後期は、住所により、「北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州」に分けられます。

(参考)平成29年度の後期中央研修の日程・会場
日程は各会場共通:平成30年1月23日(火)~平成30年1月25日(木)
北海道会場:ホテルさっぽろ芸文館
東北会場:宮城県司法書士会館
関東会場:フォーラムエイト(東京・渋谷)
中部会場:愛知県産業労働センター
近畿会場:天満研修センター
中国会場:RCC文化センター
四国会場:香川県司法書士会館
九州会場:電気ビル

※詳細は平成29年度司法書士中央新人研修(日司連研修総合ポータルサイト)をご覧ください。

■ブロック研修
北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州のブロックごとに行われる研修です。以下のとおり、ブロックによって日程が異なります。

(参考)平成29年度のブロック研修の日程・会場
・北海道ブロック:平成30年1月12 日(金)~1月18 日(木) ホテルノースシティ
・東北ブロック:平成30年1月14日(日)~1月19日(金)、1月21日(日)、1月22日(月) 宮城県建設産業会館
・関東ブロック:平成30年1月12日(金)~1月17日(水)、1月18日(木)、1月19 日(金) 第一生命東戸塚教育センター「新館」、フォーラムエイト
・中部ブロック:平成30 年1月8日(月・祝)~1月14日(日) 愛知県司法書士会館
・近畿ブロック:平成29 年12月9日(土)~12月11日(月)、12月15日(金)~12月17日(日)、12月23日(土・祝)、12月24日(日)、平成30年1月6日(土)~1月8日(月・祝)、1月13日(土)、1月14日(日) ホテルマイステイズ新大阪コンファレンスセンター
・中国ブロック:平成30年1月10日(水)~1月16日(火) 広島司法書士会館
・四国ブロック:平成30年1月5日(金)~1月11日(木) 香川県司法書士会館
・九州ブロック:平成30 年1月13日(土)~1月19日(金) 福岡東映ホテル

※詳細は平成29年度司法書士新人研修のご案内(PDF)のP7、20~をご覧ください。

■司法書士会研修(配属研修)
各都道府県(※)の司法書士会が行う研修です。
※北海道のみ、札幌、函館、旭川、釧路の4つの司法書士会に分かれています。

基本的には、「配属研修」といって、実際に司法書士事務所に行って、その事務所で実務を学びます(その他の研修もあります)。実施時期は、都道府県によって異なり、12月に実施する司法書士会もあれば、3月に実施する司法書士会もあります。
※詳細は,各都道府県の司法書士会のWebサイトなどでご確認ください。

全国司法書士会一覧(日本司法書士会連合会)

■特別研修(1月下旬~3月初旬)
司法書士になるために受ける義務のある研修ではありませんが、「特別研修」という研修があります。
これは、簡易裁判所の民事訴訟での代理権を有する認定司法書士になるために受ける研修です。この特別研修を受けると、その後の6月初旬に行われる認定考査という試験を受けることができます。認定考査に合格すると、認定司法書士になることができるようになります。
ほとんどの合格者は、この特別研修も受講します。

研修が4種類もありますが、ほとんどが短期のものですので、司法試験の合格者が受ける約1年間にわたる司法修習と比べると、だいぶ負担は軽いものです。

 

合格後の流れ2:司法書士事務所に就職

「1.研修を受講」の後にしましたが、研修中に就職する方や、研修開始前に就職する方も多くいます。
私も、研修が始まる前の11月に就職しました。

研修は上記1.のとおり4種類ありますが、研修によっては、終日拘束されるものや平日に行われるものもあります。
「それでは、事務所で働きながら研修を受けることは難しいのではないか?」と思われるかもしれません。しかし、事務所を経営されている先生も、ご自身が研修を受講していますので、「この期間は、あまり出勤できないだろうな」と考えて採用するのが通常です。よって、「事務所に勤めながら、研修も受講する」ということは、大抵の事務所では可能です。
私も、研修で出勤できない日は休みを頂き、事務所に勤めながら研修を受講しました。

ただし、研修を考慮せず採用する事務所もあるかもしれません。後々トラブルにならないようにするためにも、必ず就職の面接の際に、「この期間は研修で休む必要があります」と伝えてください。

もちろん、研修終了後の4月以降に就職される方もいますし、認定考査の試験後の6月に就職される方もいます。

就職状況については、以下のインタビュー記事に詳しく書きましたので、事務所への就職をお考えの方はお読みください。

司法書士の就職・転職のプロに聞いた!就職状況の実際

 

合格後の流れ3:別の司法書士事務所に転職

1つの事務所で1年ほど経験を積んで、他の事務所に転職される方もいます。理由は、1つの事務所だと取扱業務が偏るためです。たとえば、「不動産登記業務がほとんどで、商業登記の依頼がたまにくる程度である」という事務所は多くあります。そうすると、裁判業務や成年後見業務の経験が積めませんので、取扱業務の異なる他の事務所に転職するという選択肢が出てきます。

ただし、この3.の「別の司法書士事務所に転職」という過程を踏まずに開業する方も多くいます。「様々な業務の経験を積んでから開業したほうがよいのでは?」と思われるかもしれません。たしかにそのとおりなのですが、複数の事務所で働いても、開業してからくる仕事で経験のない業務は出てきます。特に開業当初は仕事を選べる立場にはないことが通常ですので、「きた仕事は基本的には何でもする」という姿勢になります。そうすると、通常の事務所では滅多にない依頼であることもあります。

よって、結局はどんな人も「こんな依頼がきたらどうしよう……」と思いながら開業することになります。依頼がきてから勉強することもあります。そのため、1つの事務所の勤務経験のみで開業する方が多いのも実情です。
 

合格後の流れ4:司法書士事務所を開業

開業形態は、現在では多様化しています。たとえば、以下のような形態があります。

(1)事務所を借りて開業する
(2)自宅開業
(3)共同事務所・合同事務所として開業
(4)他の先生の事務所内で開業

これについては、開業司法書士の年収・月収と開業費用という記事に詳しく書きました。

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