20分で約42%のことを忘れる
エビングハウスの忘却曲線というのをご存じでしょうか。エビングハウスという心理学者が行った「覚えたことをどれだけ忘れずにいられるか」を調べた実験の結果です。これによると、20分後には約58%しか覚えておらず、1時間後には約44%、1日後には約26%しか覚えていなかったのです。エビングハウスの忘却曲線。人は20分で覚えたことの約42%を忘れる。
・たった20分で、半分近くを忘れてしまう
・1日後も1ヶ月後も大差なく、約4分の3忘れてしまう
たった20分で半分近いことを忘れてしまうのは驚きですが、1日で約4分の3のことを忘れてしまい、これが1ヶ月後の記憶量とほとんど差がないのです。
ですから、復習をするのならこの20分以内というきわめて早いうちにしなければならないこと、1日復習しないのは1ヶ月復習しないのとほとんど同じだということが言えます。
授業でも、勉強でも、会議でも、講演でも、開始してから20分後には、多くのことを忘れ始めているのです。
一夜漬けが良くないワケ
よくテストの直前に、英単語や歴史の年号などを、一夜漬けで覚える人がいます。それでそこそこ良い点数をとっているから大丈夫と思っているとしたら大間違いです。一夜漬けは、次の日のテストには多少効果があるかもしれませんが、1ヶ月後のテストにはほとんど効果がありません。また、小テストや定期テストといった出題範囲の狭いテストでは通用するかもしれませんが、模擬テスト、入学試験、資格試験といった範囲が広いテストではどうでしょうか。一夜漬け(悪い反復練習)だと、直後の成績は良くても、1ヶ月後の成績は良くない。
よく、定期テストは点数がとれるけれど、模試などの実力テストで点数がとれない人によくある傾向です。原因は、記憶が長続きしない勉強をしているからです。一夜漬けはその典型例なのです。
こんな復習の仕方がベスト
では、記憶が長続きする勉強とはどんな勉強なのでしょうか。結論を言ってしまえば、復習に重点を置いた何度も反復練習する勉強法です。忘れた頃に何度も復習することで記憶が強化され、時間が経っても忘れにくい記憶となります。復習が大切と言われる理由はここにあるのです。繰り返し反復練習することで、記憶が強化され、1ヶ月経っても忘れにくくなる。
問題集を何ページも一気にやってしまい、丸つけもせず「やりっ放し」という人がよくいます。これは、はっきり言って、効率が悪い勉強の仕方です。1~2ページ解いたら、丸つけをして、間違えたところは解説を読んだり、間違い直しをしたりするなど、すぐに復習しましょう。
■学習効果の高い問題集の解き方
1.問題集を解く(1~2ページ)
2.丸つけをする(○と×をつけるだけで、赤ペンで答えを書き込まない)
3.解説を読んだり、間違い直しをしたりする
4.最初の問題から、もう一度軽くおさらいする
こうした方が良い理由は、丸つけをして、間違い直しをしている間にも、最初の方に直した問題から忘れ始めているから。ですから、間違い直しにかかる時間を20分程度にとどめるためにも、一度に解く問題集の量を1~2ページくらいにして、区切りをつけることが大切なのです。できれば、間違い直しをした後に、もう一度、そのページの最初の問題から一通りおさらいすると、なお良いでしょう。