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犬の体温など、犬の体について知ろう! 愛犬の健康管理

近頃では犬の習性や行動についてもっと知ろうという動きが活発です。それも大切なことですが、そもそも犬の体についてはご存知でしょうか? 犬の体温など、今回は、犬の体について知り、愛犬の健康管理をしておきましょう。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

犬の体温……犬の平均体温は人間より少し高め

犬の体温など、犬の体について知ろう

愛犬の平熱などを知っておこう。

犬の平均体温は、38.5度くらいで、大型犬ではやや低め、小型犬ではやや高めになります。体温の測り方としては、体温計を3cm~5cmほど犬の肛門に挿入して直腸温を測るのが一般的なやり方ですが、中には嫌がってなかなかじっとしていないコもいますから、少しずつ慣らしていく必要はあるでしょう。どうしても測れない時には、体温計を犬の内股にはさんで測る方法もありますが、この場合は0.5度~1度低くなるので、その分を足したものが体温となります。

愛犬の平熱を知っておくということは、何かあった時に役に立つと思います。ペット用の体温計も市販されている上、直腸温を測らずとも、ほんの数秒で体温がわかる耳体温計というのもありますから、使いやすいものを一つ常備しておくといいでしょう。
 

 数秒で体温が測れるペット用耳体温計。


なお、体温が41度を超えている場合はたいへん危険な状態ですので、すぐに動物病院に連れて行くことをお勧めします。
 

犬は人間より呼吸が速い?

人間が1分間に呼吸する平均的回数は15回~18回だそうですが、犬では15回~30回程度になります。大型犬のほうが呼吸数は少なめで、小型犬や子犬では多くなります。人間も犬も眠っている時には呼吸数が少なくなりますが、気温や運動後、体調など条件によって呼吸数は変動するというのはご存知のとおり。一度、愛犬が落ち着いている状態での平均的呼吸数というのも数えておくといいかもしれませんね。
 

犬だってドキドキすることがある

次に心拍数を見てみると、人間の成人の場合は1分間に60回~70回であるのに対し、犬では60回~120回程度となります。人間でも成人より子供のほうが心拍数が多く、また、大きな動物より小さな動物のほうが多いのと同様に、やはり、大型犬のほうが少ない傾向にあり、小型犬や子犬では心拍数が多くなります。

心拍数を測るには、犬の後ろ脚の内股に動脈がありますので、そこに指をあてるとドクドクと脈打つ様子を感じ取れるはずです。そのまま指をあてて1分間、数を数えます。呼吸数と同じく、気温や運動後、体調、何らかのストレスなど条件によって心拍数は変化しますので、犬が落ち着いている状態の時に測るようにしましょう。
 

犬の嗅細胞の数は2億個!

犬にも得意な匂いと苦手な匂いがある。

犬にも得意な匂いと苦手な匂いがある。

犬は嗅覚が優れていることで知られていますが、なぜ優れているのか? それは、圧倒的な数の嗅細胞をもっているということが一つあげられます。人間では約500万個と言われる嗅細胞の数が、犬種によって多少の違いはあるものの、犬では約2億個あるとされているのです。

鼻の奥にある嗅上皮と呼ばれる粘膜の中に存在する嗅細胞が匂いの分子を感知し、それを脳に電気信号として伝えることで匂いを感じとることができるのですが、嗅上皮の面積にしても、犬は人間の10倍~50倍程度の広さがあり、鼻腔の広さもジャーマン・シェパードのような犬種では人間の約4倍程度となります。

これを見ただけで、犬の嗅覚が優れている理由がわかりますね。ただ、嗅上皮の広さや嗅細胞の数の多さが嗅覚の鋭敏さに関係しているとするなら、当然、短吻種は鼻が短い分、嗅上皮の面積も狭く、自ずと嗅細胞の数も少なくなるので、鼻が長い犬種に比べて嗅覚は劣るということになります。

さて、犬はどんな匂いにでも敏感かというとそうでもなく、得意な匂いや不得意な匂い、またはあまり興味のもてない匂いというのがあります。酪酸などの脂肪酸に関しては最もよく反応し、人間が知覚できる100万倍~1億倍もの感度をもつと言われていますが、匂いの対象が花(スミレ)になると3000倍程度だったりします。しかし、50リットル近い水の中にスプーン一杯の食塩が入ったものと、そうでないものとを区別できたという実験報告もあるそうですから、犬の嗅覚というのは素晴らしいの一言ですね。

この嗅覚は、子犬が生まれてまだ目も開かず、聴覚も働いていないうちから機能を始め、高齢になってからは視覚や聴覚が衰えても最後まで残る感覚器官と言われています。匂いを使った宝物探しなどのゲームをすることは脳を刺激し、活性化させることにもなりますので、元気過ぎて体力が有り余る犬や、シニア犬のアンチエイジング対策として利用するのもいいのではないでしょうか。
 

人間より視力は弱くても、動くものには敏感!

犬の視覚については、以前の記事「犬は目が悪い、は本当?」を参照してください。

犬も加齢や病気などで視力が低下する、または視力がなくなることがあります。しかし、それにはなかなか気づきにくいもの。なぜなら、犬の行動が習慣化されることで、あたかも見えているかのように行動できたり、嗅覚や聴覚を頼りに動くことができる場合もあるからです。

人間のような視力検査をすることは難しいのですが、「もしかして見えてないのかな?」と気になるようなところがあった場合には、犬に対面した状態で、少し離れたところからティッシュを落としてみる、綿を丸めたものを犬に向かって投げてみるなどして、その反応を見てみるというのも一つの方法。しかし、視力が衰える原因には加齢の他、何らかの病気が影響していることもありますので、動物病院で一度診てもらうことをお勧めします。

また、視力がなくなった犬の場合、突然体に触ったりするとびっくりすることがありますから、名前を呼ぶなど一声かけてから触るようにしましょう。家具の配置などもなるべく変えずに、それまでの慣れ親しんだ環境で生活できるようにしてあげたいものです。見えない分、ケガ予防のためにも部屋の中に危険なものがないかどうかチェックすることもお忘れなく。
 

犬はピアノの音階の差だって区別できる!

犬の聴覚については、以前の記事「犬の耳は口ほどにものを言う」を参照してください。

犬は私たちが思う以上に優れた聴力をもっていますが、人間が発する言葉の母音を聞き取る能力には長けているものの、子音を聞き取るのはちょっと苦手です。「来い」も「トイ」も「おい」というふうに、同じように聞こえているのかもしれません。ですから、犬をしつける時に使う言葉はだらだらとしたものではなく、短くはっきりとしたものであるほうが彼らにはわかりやすいということになります。

その聴力も加齢とともに衰えがちですが、名前を呼んでもなかなか反応しない、大きな物音に反応しなくなったなど、視力とは違って、その変化にはわりと気づきやすいものです。ちなみに、ダルメシアンや白いブルテリアでは先天的な聴覚障害をもった子犬が生まれる率がわりと高いことは知られていますが、その他、白い毛が多いボストンテリアなどでも見られます。こうした先天性の聴覚障害の場合は、逆になかなか気づきにくいことがあるようです。しつけをしようと思ってもなかなか覚えない、名前すら覚えない、どうしようもない犬だと思っていたら、実は聴力がなかったということに後になって気づくというふうに。

聴力がない場合は、手の動きによるコマンドでしつけをする、後ろからいきなり触るとびっくりすることもあるので、犬の視界に入るようにしてから触るなどの配慮も必要でしょう。聴覚障害のある犬に限らず、手によるコマンドを教えておくことは何かと便利でもありますし、ガイドとしてはお勧めです。
 

犬は味より匂いで美味しさを感じる

味を味として感じるのは、舌の表面や軟口蓋、咽頭蓋などに分布する味蕾と呼ばれる器官がその刺激を大脳の味覚中枢に伝えることによります。人間の場合、味蕾の数は約1万近くあるのに対して、犬では約1700、牛は約3万5000、家ウサギは約1万7000。草食動物のほうが味蕾の数が多くなっているのは、毒草を食べる危険性を回避するためと考えられています。

味蕾の分布の仕方が人間と似ているため、犬も甘味や酸味、塩味、苦味を感じることができると思われますが、人間のように咀嚼をする動物ではないので味覚はあまり発達しておらず、味で食べると言うより、匂いで美味しさを感じて食べるというタイプです。味を感じるにも口に食べ物を入れてから瞬時に感じるわけではなく、1~2秒程度の時間を要しますから、丸呑みでものを食べる犬では味覚が発達しなかったのも当然なのでしょう。

味わって食べるタイプではないということは、危険な匂いを感じ取らない限り、毒性のあるものでも平気で口に入れてしまう危険性もあるということ。犬が食べると中毒を起こすことがある食べ物や植物など意外なほど多くありますので、そうしたものが身近にないかどうか、この機会に愛犬の生活環境を今一度見直してあげましょう。
 

体の末端にいくほど敏感

触覚には、文字どおり触れることで感じる触覚の他、何かに体を押しつけた、または押された時に感じる圧覚、そして冷覚、熱覚、痛覚、痒覚なども含まれます。

生まれたての子犬は特に熱(温度差)に対して敏感で、少しでも寒さを感じればキュンキュン鳴きますし、ミルクの温度が数度違っただけで飲まないことがあります。だんだんと成長するにつれて、足の裏の触覚は特に鋭敏になりますが、これは四つ足で歩行したり走ったりする犬たちの生活を考えれば自然の理にかなった発達と言えるでしょう。足の裏では地面に伝わる振動をキャッチできますから、聴覚に障害のある犬が家の外の気配を感じ取ったりできるのもその触覚があればこそ。ということは、そういった犬をしつけたり、コミュニケーションをはかる際には、手によるコマンド以外に、何らかの振動を使うという方法も考えられるのではないでしょうか。

その他、匂いを嗅いだり、獲物を捕食する、育児やコミュニケーションにも使う口先(鼻やマズル)も触覚が鋭敏になっています。さらには、耳や尻尾の触覚も敏感。要するに、体の先端部分が特に敏感にできているということです。人馴れしていない犬や、他人を怖がるような犬の場合は、こうした先端部分にいきなり触れられるのを嫌がることがよくありますが、それもそのはず、敏感な部分であるからこそでしょう。

逆に、それほど敏感ではないと思われる触覚は?というと、熱覚がそれにあたります。犬は寒い・冷たいというものに対しては感受性が高いのですが、熱いものに対してはやや鈍く、低温やけどをおこしそうになってもなおストーブの前で寝ていたりするのはそのためです。ここで誤解のないように。「熱い」ものにはやや鈍くても、「暑い」ものは苦手なのです。犬が熱中症になりやすいのはご存知のとおり。皮膚に局所的に感じる熱さと、環境そのものの暑さとはまったく別物だということです。これからの季節、暑くなってきますから、熱中症にはくれぐれもお気をつけください。

さて、触覚と聞くと、そもそも犬は人に触られる・撫でられるのは好きなのか?ということを考えますよね。答えは、好き。ただし、人馴れした犬ということになるでしょう。中には体に触れられることを嫌うコもいるでしょうが、概ね犬は撫でられたり、体をさすったりしてもらうことは好きなようです。テリントンタッチやドッグマッサージなどでも、施術によって心身ともに犬の状態が安定したりすることはよくありますので、ふだんの生活の中に取り入れてみてもいいのではないでしょうか。その前に、体のどこを触られても平気なようにトレーニングすることは大切ですが。


こうした犬の体について少しは知っておくと、後々何かの時に役に立つかもしれません。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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