マンション物件選びのポイント/マンションの構造・耐震性

地震に強いマンション(11)耐震診断フローチャート(3ページ目)

このマンションは安全なのか、それともプロによる耐震診断を受けるべきなのか――非常に判断が難しいところですが、ひとつの目安になるフローチャートをご紹介します。鉄筋コンクリート造マンションの簡略な耐震診断としてご利用ください。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド


チェック項目:階数(※9)

低層で壁の多いしっかりした造りのマンションなら、古くても地震に強い。

低層で壁の多いしっかりした造りのマンションなら、古くても地震に強い。

建物の階数のチェックはラーメン構造の建物のみで行います。一般的に「高層」の建物よりも「低層」のマンションのほうが地震時の被害が少ないと考えられています。もし3階建て以下であれば次のチェック項目「建設年度」に進みますが、4階建て以上であればここでチェックは終了となり「診断が必要です」に分類されます。

また、3階建て以下であっても次の建設年代のチェックで1971年以前の建物であれば「診断をおすすめします」に分類され終了です。

なぜ「1971年」かというと、この年には建築基準法の改正があり、柱のせん断破壊を防止するための要綱が盛り込まれているからです。柱のせん断破壊はそれまでのRC造建物の弱点であり、地震時に柱がせん断破壊を起こすと建物全体がつぶれてしまう可能性があり、大変危険とされていました。

【関連記事】
地震に強いマンション(2)構造形式・階数

 

以上、日本建築学会が公開している「RC造建物の簡易な耐震診断フローチャート」を取り上げ、順番にそれぞれのチェック項目について解説いたしました。このフローチャートを使えば、鉄筋コンクリート造のマンションにおいて、プロによる耐震診断を受ける前に簡易に診断を行うことができます。もしここで「診断が必要です」に該当することがわかったら、専門家に相談や依頼を行ってください。

プロによる耐震診断を受けるときの手続きはこちらの記事「地震に強いマンション(9)耐震診断の手続き」、マンションで行う耐震補強の例は「地震に強いマンション(10)耐震補強の例」をご覧ください。

今まで延べ12回に渡り「地震に強いマンション」シリーズを掲載してまいりましたが今回のフローチャートで終了です。最後までお読みいただきありがとうございました。ご自宅のマンションの耐震性を知りたい、耐震診断を受けたいと考えた時にはぜひこの「地震に強いマンション」シリーズの記事を参考にご覧ください。

【参考サイト】
わが家の耐震 ―RC造編―(一般社団法人 日本建築学会)

【関連記事】
地震に強く安全なマンションの条件
地震に強いマンション(1)建設時期
地震に強いマンション(2)構造形式・階数
地震に強いマンション(3)平面形状
地震に強いマンション(4)立面形状
地震に強いマンション(5)ピロティ
地震に強いマンション(6)壁の配置バランス
地震に強いマンション(7)経年劣化
地震に強いマンション(8)混用構造
地震に強いマンション(9)耐震診断の手続き
地震に強いマンション(10)耐震補強の例

知っておきたいマンション構造の基礎知識

新しいほど耐震性は高い?耐震基準の変遷
住宅の耐震性を決める3大要素は「建物・地盤・施工」
大地震に見るマンションの耐震性能
あなたのマンション、地震に耐えられる?
住まいの耐震性って本当に必要なの?
コンクリートが強度不足!RC造の危険性
建物に適した地盤と基礎の関係を知ろう
我が家は安全?地盤と基礎で耐震チェック!

Copyright(c)2013 住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 All rights reserved.
【編集部からのお知らせ】
・「20代男性俳優」について、アンケート(2024/5/31まで)を実施中です!(目安所要時間5分)

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※回答上限に達し次第、予定より早く回答を締め切る場合があります
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます