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復興特別所得税で貯蓄の利息は吹っ飛んでしまう

1月の給与の時期になりましたが、敏感な人であれば手取額が減っていることに気づかれるはずです。平成25年1月より復興特別所得税が課せられることから、平成24年12月と同じ給与だったとしても、その分手取額が減少したと言うわけです。金額にして数百円(高所得の人は数千円)かもしれませんが、冷静に考えて見れば、私たちの貯蓄から生まれる利息収入を相殺して余る水準だということを認識しなければなりません。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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復興特別所得税で給与手取り減……増税は25年間続く

1月の手取りが減っていることに気がつきましたか?

1月の手取りが減っていることに気がつきましたか?

昨年12月以降、アベノミクスで市場を取り巻く環境は一変。私たちの生活に関しては、インフレになるのか、あるいはハイパーインフレになるのか等々が心配されていますが、安倍新政権の政策より、民主党政権で決められ実行されたことをまず気に掛けなければなりません。なぜなら、安倍新政権は新しい政策などをまだ1つも行っていないのですから。余談ですが、ハイパーインフレは月間の物価の上昇が50%、年換算すれば約13000%の上昇ですから、わが国でハイパーインフレになることはあり得ないでしょう。

話を戻せば、前与党であった民主党政権、正確には野田政権時代に決められ、実行(平成25年1月より)されたのは、復興特別所得税2.1%(住民税は平成26年から10年間で1人当たり年間1000円)、年収1500万円超の勤労者の給与所得控除に上限(245万円)を設ける、退職金の住民税の控除廃止と言ったところです。
最も多数の人に該当するのが復興特別所得税ですが、財務省の試算(夫婦と子供2人世帯)によれば、年収600万円の人で年間2700円、月225円、年収800万円の人で年間7000円、月583円、年収1000万円の人で14000円、月1166円です。

年収、家族構成などによって負担額は異なりますが、概ね月数100円程度だから大したことはないなと思われるかもしれませんが、実は大したことが大ありなのです。何もしなければ、私たちが頑張っている貯蓄から生まれる利息収入が吹っ飛んでしまう程のインパクトがあることを忘れてはならないのです。

預貯金金利と復興特別税率を比較すればわかること

復興特別所得税は2.1%と先に述べましたが、2.1%がそのまま上乗せされるのではなく、これまでの所得税率に2.1%かけた割合が上乗せされるのです。給与等に課せられる所得税率は所得が増えるごとに税率もアップして行く累進税率で、5%、10%、20%などと上昇して行き最高税率は40%です。給与に課せられる税率が10%の人であれば、10%×2.1%=0.21%が上乗せされるため、平成25年1月以降の税率は10.21%になるのです。同様に計算して行くと、5%は5.105%、20%は20.42%などと上昇して行き、40%は40.84%になります。

最低でも0.105%、最高だと0.84%になりますが、私たちが給与などからコツコツ貯めた貯蓄にから得ることができる利息収入の割合、言い換えれば「利率」ですが、平成25年1月中旬現在だと、普通預金で0.02%、1年定期で0.025%、3年・5年定期共に0.03%に過ぎません(大手銀行の場合)。つまり、大手銀行を始めてとした大多数の銀行に虎の子の貯蓄を普通に行った場合、復興特別所得税の導入により、利息収入は相殺されたばかりか、持ち出しまである状況に変わってしまったのです。

しかも、ただでさえ金利の低い定期預金から発生する利息に対する税金にも復興特別所得税は課せられるのです(平成25年1月1日より税率は20.315%)。節約に加えて貯蓄などの蓄えにも働いてもらおうと言いますが、平成24年までのような貯蓄方法(金融商品選び)では、働いてくれないばかりか、持ち出しまで発生することになってしまったのです。

預金金利の上昇は見込みにくいことから、貯蓄に働いてもらおうと考えるならば、金融商品選びを抜本的に変えなければならないのです。少なくとも実質の税率を超える利息収入が得られない限りは、アベノミクスでインフレが来る!と騒ぐ前に、元本が目減りしていると言い換えてもいいのかもしれません。

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