不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

Vol.1短期賃借権保護制度の廃止の理由 賃貸借の変化が家の値段を変える(2ページ目)

この4月1日より「短期賃借権の保護」制度が廃止になります。これは、賃貸物件の貸主・借主に大きな影響を与えます。大変な事態になるケースも考えられるこの賃貸環境の変化は、売買にも影響をもたらすと思われ、知っておいて損のない知識や見通しですので、ご紹介と見解をお話させていただきます。

執筆者:平野 秀昭

2.保護の廃止の背景

「短期の賃貸借契約を保護するのは、もともと社会的弱者とみなされていた借主を限定的に保護しようという趣旨で創られたのですが、その規定を悪用する輩が出てきました。

いわゆる「占有屋」と呼ばれる人たちで、競売にかかる物件に本来住む意思が無いにもかかわらず、短期賃貸借契約に基づいて住んでいるようにみせ、法外な立ち退き料を要求したりして競売の妨害をするのです。
「短期賃借権の保護」制度がこれら「占有屋」の法的根拠にされてきたのです。

それでは競売によって落札した人は、予想外の費用が発生したり、自分の不動産でありながら自由に使うこともままならなくなり、競売で不動産を入手することが大変困難になってきます。

そういうこともあったりして、競売には一般の素人が参加するのは難しく、競売屋という落札専門の不動産業者だけが入札するような印象を与えてきました。

ここ最近では、競売に対するそういった悪い印象は薄れ、一般の方もどんどん参加されるようになってきましたが、やはり「短期賃借権の保護」があるため、「占有屋」の問題は避けて通ることができず、この4月1日より「短期賃借権の保護」の廃止が行われることになったのです。

「短期賃借権の保護」の成立した理由と、廃止の背景は解りましたか?


次回の記事では、この「短期賃借権の保護の廃止」がもたらす「賃貸環境の変化」と、それに伴う「売買環境の変化」をお話させていただきます。

さて、この制度廃止は不動産価格の上昇をもたらすのでしょうか?もしくは下落の要因となるのでしょうか?

「雨が降ったら桶屋が儲かる」式に?検討していきましょう。

次回記事Vol.2制度の廃止による売買環境の変化
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