道路が新しく造られたり既存の道路が拡幅されたりすることによって、周辺の環境や利便性が大きく変わることもあります。
購入しようとする敷地が都市計画道路にかかっているときには、事前に必ず説明されるはずですが、少し離れた位置の計画については説明されない場合もあるため、自分で調べてみることも考えてみましょう。
できれば事前に都市計画図を確認して、購入を検討している物件の周囲に都市計画道路の予定がないか調べるようにします。都市計画図はそれぞれの役所の担当窓口で閲覧することができるほか、インターネットで確認ができる自治体も多くなっています。
とくに、いままで住宅が立ち並んでいるところへ新たに造る道路の計画には、十分に注意しなければなりません。
横浜市行政地図情報提供システム「i-マッピー」より一部抜粋
しかし、都市計画図の図面上の情報だけではなかなか分からない面も多いほか、工事が完了している部分に計画ラインが引かれたままになっている場合もあるため、現地を併せて確認することも大切です。
計画のある現地において、道路用地がすでに確保されていれば、その事業実施が比較的早いものと考えて差し支えないでしょう。
しかし、道路用地が確保されているのにもかかわらず、その工事が長い間にわたり手付かずのままとなっているようなケースもあります。通行などの際に何らかの不便や不都合がないかどうかについてもチェックが必要です。
購入しようとする物件の前が道路予定地になっていて、その工事がしばらく先になるようなときには、衛生上の問題などが生じていないかについても注意が必要です。もちろん、工事後の環境変化について、十分に想像力を働かせてイメージしてみることも欠かせません。
一方、道路計画が策定されてからその事業が実施されるまで、数十年かかるようなことも少なくありません。その間に建てられるマンションやビルでは、道路予定地部分を駐車場などにしているケースも多くみられますが、その部分の整備は中途半端になりがちです。
また、道路の計画だけが決まっていてその事業が未定の段階(計画決定段階)では、2階建て以下(自治体による緩和規定がある場合は3階建て以下)の地階を有しない木造、鉄骨造などであれば建築が認められます。
そのため、既存の道路に面した拡幅予定地部分に木造一戸建て住宅が残り、その奥にマンションなど高い建物が建てられているケースもあります。
さらに、道路予定地部分に不自然に突き出した構造の建物や、既存の道路に面して、見た目が異なる構造の低層部分を持つビルなども多いでしょう。これらを観察することで、道路計画の存在とその予定線が分かる場合も少なくありません。
周辺の状況をみて都市計画道路を推定できる場合もあります。道路が途中で急に狭くなっていれば、その先の部分の拡幅事業が近いだろうと考えられます。すでに拡幅工事がされている箇所を含む路線では、同様にその延長上で工事が進んでいくことでしょう。
都心部などでは、ビルの間に低い建物が直線状に連なっていることで、道路を新設する計画の存在が分かる場合もあります。規模の大きな計画であれば、はっきりと異なった空間になっていることもあるでしょう。
計画決定がされたものの長期間にわたって事業決定がされない都市計画道路について、計画の変更や廃止など見直しを進めている自治体も一部にありますが、何十年も凍結されていた計画がいきなり動き出すこともあります。
道路予定地にかかる建売住宅が分譲されたり、中古住宅が売られる場合もありますが、「ずっと事業化されていないから、これからもきっと大丈夫」などと考えずに、事業化された場合にどうなるのかをしっかりと確認することが必要です。
いずれにしても、道路は生活環境を大きく左右します。敷地とはまったく関係のない場所での道路拡幅や新設によって、車の流れが大幅に変わることもあるので注意しなければなりません。
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