「黄連解毒湯」はどんな人・どんな症状にいいの?
熱で神経が興奮しているような状態にも使える
「黄連解毒湯」の効果
高熱、うわごと、鼻血、吐血、皮膚の化膿症、頭痛、耳鳴り、高血圧症、不眠症、ノイローゼ、二日酔い、胃炎、口内炎などの改善に。なお臨床では、赤痢や肺炎、泌尿器感染症などにも用いられます。「黄連解毒湯」に入っているもの
黄連(キンポウゲ科の根茎)、黄ゴン(シソ科の根)、黄柏(ミカン科の樹皮)、山梔子(アカネ科の果実=クチナシの実)。「黄連解毒湯」が合わない人
配合されている4つの生薬は、どれも苦くカラダを冷やす作用があります。なので炎症や熱による諸症状がなかったり、胃腸が弱い人に長期間の使用はできません。また、便秘の改善には大黄の入った三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)のほうがベターです。「黄連解毒湯」の飲み方などの注意点
■ 飲む時間一般的には食事と食事の間の空腹時、食事をする1時間前など、お腹が空で胃に吸収されやすい時期に飲みます。胃腸が荒れやすい人には食後、排便をうながすタイプの漢方には、空腹時の服用を勧める場合もあります。なお、食間に飲み忘れたときは、食後でいいので飲みましょう。
■ 「水」or「白湯」?
症状によって、冷たい水で飲むほうが効果的な場合(その反対も)もありますが、基本的には生薬を水で煎じた「煎じクスリ」の場合は、人肌に冷まして飲みます。生薬の有効成分を抽出して乾燥・加工した「エキス剤」の場合、お湯に溶かしたり、水と一緒に飲んでください。
「黄連解毒湯」の副作用
胃腸虚弱、体質や症状に合わない、西洋薬との併用、アレルギー体質などの場合、不快な症状が出ることがあります。ちょっとおかしいな、と思ったらすぐ服用をやめ、漢方の専門家や処方してくれた医師に相談しましょう。「黄連解毒湯」が買える場所
漢方薬局や病院、診療所、ドラッグストアなどです。代表的な商品名:(アイウエオ順)
- オースギ黄連解毒湯エキスT錠 (大杉製薬)
- クラシエ黄連解毒湯エキス錠 (クラシエ薬品)
- コタロー黄連解毒湯エキス細粒 (小太郎漢方製薬)
- サカモト黄連解毒湯エキス顆粒-S (阪本漢法)
- ツムラ黄連解毒湯エキス顆粒(医療用) (ツムラ)
「黄連解毒湯」の漢方的メカニズム<中級者向けトリビア>
配合されている4味すべてに清熱・鎮静作用があります。ただそれぞれの生薬が効きやすい臓器や部位が異なるため、結果的に広い範囲の出血や炎症、熱っぽい症状に対応できたりします。■ 具体的な生薬の効能
黄ゴンはとくに肺(上焦)、黄連はとくに胃(中焦)、黄柏はとくに膀胱や腎(下焦)、そして山梔子は全身をめぐる気と水の通り道(三焦)と、それぞれがパートを分担して熱を冷まし、尿として体外へ排出させるしくみになっています。また、総合で胆の働きを高め、黄疸の症状を改善させる働きがあるとされています。
「黄連解毒湯」のおまけのエピソード
苦い味がポイントでもあるこの方剤。とくに黄連は「黄連ほど苦い人生は無い」という言葉があるほどですが、実際には竜胆草と呼ばれるリンドウの根のほうが苦さは上だとか。ちなみに酒飲みにはとっても嬉しい効果が。1時間前に飲んでおくとアルコール代謝が向上して、酔いやすくそして冷めやすくなるのです。「良薬口に苦し」とは、まさにこのことではないでしょうか。