東京・神奈川・千葉・埼玉に住む/東京市部[武蔵野市・三鷹市・調布市・府中市・西東京市ほか]

吉祥寺。自然、雑踏と文化が活気を生む街(2ページ目)

独特の雰囲気がある街の多い中央線の中でも、最も人気の高い吉祥寺。公園にデパート、商店街に戦前の風情を残す飲み屋街、ライブハウスなどこの街の多彩な表情が人気、住みやすさの決め手です。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

公園、商業施設に阻まれて駅周辺の分譲物件は希少

吉祥寺のお屋敷街
井の頭や五日市街道から井の頭公園間の吉祥寺南町あたりにはこんな一戸建てが並ぶ
南口に井の頭公園、北口に商店街、デパートなどがあるため、特に分譲の新築マンションでは駅から徒歩圏の物件は希少。徒歩10分圏内では皆無といってもいいほどです。また、吉祥寺駅を最寄としていても、駅に近い場所はすでに一戸建て中心の住宅地として開発されているので、マンションが建つとすると、駅から離れた遠い場所ということに。バス便利用で行政区は三鷹市であったり、練馬区であったりというケースが多いのが現実。武蔵野市アドレスは非常に希少です。

新築マンションの供給の中心は70平米、80平米以上の3LDK、4LDKといったファミリータイプ。立地でかなりばらつきはあるものの、4500~6000万円超の予算は考えておいた方が良いでしょう。

中古マンション相場は当然ながら、人気を反映して周辺よりも高め。ただ、中古も物件数は少なく、駅から10分圏では古い建物が多いため、専有面積が50平米程度の狭い物件も目につきます。商業地域内なので、便利ではあるけれど、日当たりなどの居住環境はいまひとつという例も。子どものいる家族なら、駅からは遠くなっても住宅街立地を選ぶほうが賢明かもしれません。価格の目安は70平米で4000万円~です。また、ここでも武蔵野市アドレスは希少で、武蔵野市内にある物件なら築40年以上でも5000万円前後はします。

一戸建ての場合はさらに遠くなります。武蔵野市内でなく、調布市深大寺東町、南町、三鷹市新川、練馬区立野町、関町……。歩いて10数分、あるいはバス便などという立地でも新築で土地面積が100平米超あれば4000万円以上は必要です。中古では3000万円から3億円以上まで幅が広く、予算次第というところです。

賃貸物件はシングルからカップル、ファミリー向きまで種類豊富

吉祥寺の賃貸物件
シングル、カップル向きの賃貸なら徒歩10分圏でも探せないことはないが、日当たりなどはあまり良くない
分譲よりは駅に近い場所でも探しやすいものの、それでも供給されるとあっという間に借り手がつくという人気の街。この街で部屋を探すなら、情報を得た時点ですぐ下見に行くくらいの覚悟が必要です。

賃料相場はワンルームマンションで7万円~、同アパートで6万円~、2DKマンションで11万円~、同アパートで9万台後半といったところ。バス便利用が多くなりますが、3DKマンションなら13万円以上です。

もし、もっと家賃が出せるなら、大家さんの敷地内に建てられたテラスハウスや、元は離れだった建物、設備の整った一戸建てという選択もあります。カップル、ファミリー向けには10数万円から20万円台のデザイナーズ物件もかなり増えました。

安定した財政に手厚いサービスも魅力

ムーバス
平成7年にスタートしたムーバスは100円均一で市内を循環
最近ではあちこちの自治体で見られるようになったコミュニティバス。武蔵野市のムーバスはそのさきがけです。このように、武蔵野市は他の自治体に先駆けて、あるいは他に迎合しない独自の施策で有名です。この背景にあるのは日本全体で見ても突出した財政事情の良さ。自治体の懐具合を示す財政力指数は2013年時点で1.43と浦安市についで全国二位。、住民一人当たりへの歳出額も都内の他市に比べ数万円は多くなっています。それだけ充実したサービスが受けられるというわけです。

駅周辺でバリアフリー化、
再開発の計画も進み始めた

南北自由通路

南北自由通路の完成で街の回遊性が高まり、買い物などに便利になった(クリックで拡大)

足回り、生活ともに便利で住環境にも、自治体サービスにも他の街にない魅力のある街、吉祥寺。さらに今後は長年懸案となってきた南口駅前地区の再開発がいよいよ動き始める予定となっています。2012年には三菱地所が吉祥寺南口駅前再開発準備組合が事業協力者として財団法人首都圏不燃建築公社、三菱地所レジデンスを選定し、具体的な計画策定に着手したとのプレスリリースを出しており、進展が気になるところ。

 

駅前の混雑ぶり

バスが入ってくると警備員が歩行者に注意を促す風景が日常。日々人の集まる街だけに安全確保は急務(クリックで拡大)

そもそも、再開発の必要性、計画案については1962年時点で市議会の議案とされており、それからすでに47年。その後も計画が出たり、消えたりが繰り返されていましたが、今回はいよいよ実現されるのでしょうか。小さな区画が多く、地権者も多いと聞きますから、早期の進展は難しいかもしれませんが、通行人をかすめてバスが通る危険な状態はなんとかしていただきたいところです。

*2005年作成の記事に2013年1月、2015年1月時点で修正、加筆。

【シリーズバックナンバー】
Vol.1「ハイソで国際的な下町『広尾』」
Vol.2「中央線文化漂う住宅街『荻窪』」
Vol.3「千葉県有数のお屋敷街『市川』」
Vol.4「粋と新しい便利さの街『神楽坂』」
Vol.5「元気、でも静かな街『学芸大学』」
Vol.6「情報感度高い大人の街『表参道』」
Vol.7「人に自然に優しい街『自由ヶ丘』」
Vol.8「季節感と情緒、グルメの街『浅草』」

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