東京・神奈川・千葉・埼玉に住む/23区南[目黒・世田谷・大田・品川]

目黒、ターミナルと住宅街が隣り合う活気ある街

ここ数年、住みたい街としての人気が上昇、注目度が増している目黒。足回り、生活の便利さに加え、歴史ある寺社や散策の楽しい街並みなど多様な魅力を備えた目黒をご紹介しましょう。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

年々高まるターミナルとしての重要性と注目度

山手通りと目黒通りの角にある大鳥神社。冬は酉の市(とりのいち)でにぎわう(2007年撮影)

山手通りと目黒通りの角にある大鳥神社。冬は酉の市(とりのいち)でにぎわう(2007年撮影)

江戸時代、目黒不動を中心に、庶民の信仰の行楽地として栄えた目黒。多くの由緒ある寺院が残り、お屋敷街が点在するのは、そうした歴史によるものですが、その目黒がここ数年、大きく変化しています。
目黒駅から浦和美園駅まで約1時間。この開業で埼玉方面と都心、神奈川方面がつながった(2007年撮影)

目黒駅から浦和美園駅まで約1時間。この開業で埼玉方面と都心、神奈川方面がつながった(2007年撮影)

きっかけとなったのは2000年9月の東京メトロ南北線目黒駅の開業。これによって目黒から六本木一丁目、永田町、四谷といった都心部をへて赤羽岩淵までが開業、翌年には埼玉高速鉄道との相互乗り入れで、浦和美園までがつながることに。利便性が大きくアップしたわけです。
目黒のランドマークとなった駅ビル。駐車場のほか、建物背後の路線上にはちょっとした庭園も

目黒のランドマークとなった駅ビル。駐車場のほか、建物背後の路線上にはちょっとした庭園も

それに伴い、東急目黒線の目黒駅が地下化、その上にオフィス、マーケット、専門店街などが入ったJR東急目黒ビルが建設され、駅周辺の風景が大きく変わったのが2003年。さらに2008年には東急目黒線が武蔵小杉から日吉まで延伸しました。将来的には相鉄線との接続も予定されており、山手線、東急目黒線、東京メトロ南北線、都営三田線の4線に加え、相互乗入れしている路線も考えると、その重要性はますます高まっていくことでしょう。

首都高目黒の入り口
いつも混んでいる路線が多い中、2号目黒線は比較的混雑しない路線のひとつ
電車だけではなく、車利用でも首都高速2号目黒線の入り口や、山手通り、目黒通り、第一京浜といった幹線道路に近く、便利な立地ですし、駅からは大岡山や都立大学、三軒茶屋、東京駅など各方面へのバスも利用できます。足回りの利便性でいえば、すでに便利だった上に、ますます便利になる場所というわけです。


新旧、東西をクロスオーバーする
多様性が魅力

目黒川沿いの太鼓鰻
創業300年余という歴史ある目黒川沿いの太鼓鰻。この店が面する行人坂は権之助坂ができるまで目黒不動へのメインストリートとして栄えた(現在はマンションに建て替えられ、店はなくなっている)
歴史ある、便利な街だけに、飲食店ひとつにしても、新旧、東西を問わないクロスオーバーな広がりがあり、それがこの街の大きな魅力になっています。駅からは少し離れますが、目黒不動尊門前には江戸時代から食べる薬として知られる八ッ目鰻の店「にしむら」があり、今も老若男女が行列です。昭和14年創業、作家・池波正太郎が愛したとんかつ「とんき」も同様で、目黒でとんかつと言えば必ず名が上がります。昭和3年に日本初の結婚式場として誕生した「雅叙園」は昭和の竜宮城と呼ばれた豪華絢爛な園内が名物で、内部の百段階段ではさまざまなイベントも開かれています。


目黒ラーメン発祥の店田丸
数あるラーメン店のうち、目黒でもっとも古いとされるのが田丸。カウンターだけの小さな店だ
反面、イタリアン、フレンチなどはもちろん、スペイン料理、インドネシア料理、タイ料理に最近ではネパール料理なども増えており、食べ物に関してはほぼ何でもそろうラインナップ。手頃な店も多く、また、ラーメン店が多いことでも有名。飲食店の並ぶ権之助坂では片側だけで10余軒の店があるほどです。最近流行の立呑みバルも目黒でのヒットが隆盛につながったと言われており、目黒は食の最前線というわけです。

バングラデイッシュ大使館
この地域に点在する大使館は住宅街にあり、一見普通の住宅に見えるようなものが多い(写真の大使館は移転、この建物は現存しない)
こうした食の多様性に影響を与えていると言われるのが、周辺に点在する大使館の存在。実際、近隣には、インドネシア、タイ、コロンビア、バングラデイッシュ、ウガンダなどいくつもの大使館があり、目黒区では大使館を通じた民間の国際交流活動にも力を入れています。

通学時の風景
朝と午後の通学時間帯は学生の姿が一気に増える
大使館以外で目につくのが学校。芸能人が多いことで知られる日の出女子高、中学校や多摩大学、同中高、東京学園高校、杉野服飾大学などがあり、通学時間帯には制服姿があふれます。


インテリアストリートに目黒川、さんま祭り……
この街は散策も楽しい

目黒通りのインテリアショップ
家具店のほか、カフェや自転車屋さん、骨董品店なども増えつつある目黒通り
駅周辺の雑踏を少し離れると、のんびり散策が楽しめるのも目黒の魅力。たとえば、目黒通り。ここには、2000年前後から、この街の新しい魅力として、特に若い年代に人気を呼んでいるインテリアショップが点在。民家を改造したショップなど、店そのものにも独特な雰囲気があり、見て歩くだけでも楽しいもの。今では目黒通りだけにとどまらず、駒沢通りなど、周辺にもインテリアショップが増え、新しい地場産業とも言われるほど。

目黒のさんま祭り
この日ばかりは目黒川沿いに秋刀魚を焼く煙が立ち込める
目黒川もこの街には欠かせない存在。川沿いの遊歩道は犬の散歩、ジョギングに打ってつけで、いまや全国的に有名になった桜の季節の美しさは一見の価値があります。もちろん、新緑、紅葉も見事で、地元では秋のさんま祭りも人気。落語の目黒のさんまにちなみ、目黒駅のある品川区、目黒区の2区でそれぞれ行われているのですが、目黒区のイベントは川沿いのグラウンドで実施されているのです。

目黒駅裏手の大円寺
目黒駅周辺には山手七福神があり、ここはそのひとつ、大黒天のある大円寺
また、目黒通りと山手通りの角にある大鳥神社、少し離れた目黒不動など、由緒ある寺社仏閣が多いのもこの地の魅力。大鳥神社では酉の市(とりのいち)、目黒不動では毎月28日に縁日が行われるなど、下町の風情も残されています。

では、次ページでは気になる住宅事情を見ていきましょう。
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