/薬の基礎知識

同一成分のジェネリックに価格差がある理由

処方せん様式の変更に伴い、ジェネリック医薬品の中からどれを選ぶか、悩むこともあるかと思います。今回は、同一成分のジェネリック間で、なぜ価格差があるのかという疑問にお答えします。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

同一成分のジェネリック医薬品に価格の差?

ジェネリックって?
流通状況などを重視して揃えているため、必ずしも一番安価なジェネリックになるとは限りません
Q:コレステロールの薬(高脂血症治療薬)のジェネリック(後発品)を調べたところ、成分は同じなのですが、値段がばらばらでした。
安いのは高いジェネリックに比べて半分以下のもありました。なぜですか。

A:はい。お答えします。
そうですね。同じ成分のジェネリックなのに、値段に差がある場合がありますね。

一般的な、モノ(消費財など)の価格は、需給によって決まります。欲しい人が多かったり、供給が少なければメーカーは高価にする場合もありますし、また、競合の製品が多いと安価にするなど、市場の力によって変わってきます。

しかし、原則的に医療機関で処方される薬は、財源が保険(財源は保険収入、税金など)で支払われる背景もあり、国が薬の値段を決めています。少し専門的に言うと、厚生労働大臣が定める薬価基準(国が決めた薬の価格)に収載されて、薬が流通しているのです。

ジェネリックの価格も同様に、国が価格を設定しています。

ジェネリック医薬品の薬価のつけ方

さて、具体的にジェネリックの価格はどのように決めているのでしょうか。
まず、新しく発売する際に薬価がつきます。そして、2年に一度の診療報酬改定の際に、薬価基準も見直され、市場の動向に合わせた薬価が再算定されます。

新発売の際のジェネリック医薬品の薬価は、原則的には以下の方法で算定しています。
1.すでに薬価基準に収載されている医薬品が新薬(先発品)のみの場合は、原則新薬の7割の価格
2.すでに薬価基準に収載されている医薬品にジェネリックがある場合は、原則一番安いジェネリック医薬品と同一価格
3.すでに薬価基準に収載されている新薬とジェネリックの品目数が合計20品目を超える場合は、一番安いジェネリック医薬品の9割の価格

上記を少し分かりやすく、便宜的に新薬の薬価を100円として説明してみましょう。

1の場合:
 新薬100円×7割=70円。よって、新しいジェネリックは70円の価格となります。
2の場合:
 新薬100円、すでに収載されているジェネリックA:65円、B:60、C:55円 の場合、最低価格のジェネリックはCの55円なので、新しく出すジェネリックは55円になります。
3の場合:
 新薬100円、95円・・・(新薬も併売しているとメーカーごとに値段が違う事があります)と、すでに収載されているジェネリック A:65円、B:60、C:55円 D:50円・・・を合わせて20品目以上収載されている場合

 最低価格50円×9割=45円 よって、新しいジェネリックは45円の薬価になります。

>>次のページでは、発売後の価格付けによる価格差の仕組みをご紹介します(薬価改定の算定方法など)>>
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