飲酒・アルコール/適度なお酒の量・アルコール分解スピード

アルコールの血中濃度と分解スピード(2ページ目)

アルコールの血中濃度は飲んだ量と体重に関係します。350mLの缶ビール1缶の分解には2時間必要で、缶ビール1缶でも酒気帯び運転となる可能性があります。長時間飲んだ場合は翌朝でも酒気帯び運転となるので注意が必要です。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド


アルコールの分解スピードの考え方・計算法

多くの人が気になるのが、アルコールと運転の関係でしょう。酒気帯びのボーダーになるのは、アルコール血中濃度「0.3mg/mL」以上の場合。呼気中0.15mg/Lのアルコール検出で、血中濃度0.3mg/mLの酒気帯び運転とみなされます。

体重当たりのアルコールの溶け込む量はおおよそ0.5L/kgから0.6L/kg。アルコールは脂肪組織には溶けないと計算するので、女性の場合は体脂肪が多い分、係数は小さくなります。体重70kgの人の場合、アルコールが溶けるのは、35Lという計算になります。また、アルコールの比重は約0.8なので、350mLの缶ビールのアルコール度数を5%とすると、含まれるアルコールの重さは14g。アルコールがまったく分解されていない時点での血中アルコール濃度は、14g/35L=0.4mg/mLなので、どんなにお酒に強い人でも缶ビールを飲んだ後はしばらく「酒気帯び運転」になってしまうのです。

ここで、冒頭に書いたアルコールの分解スピードについて考えてみましょう。アルコールの分解スピードを「0.1g/kg/時間」とした場合、70kgの人が1時間に分解できるのは7g。上の計算に当てはめると、缶ビール1缶のアルコールを全て分解するには2時間かかることになります。
 

午前様は翌朝も「酒気帯び」になる危険性

いわゆる飲み会で二次会や三次会に行った場合、実際の計算はかなり複雑になります。夜7時からの飲み会に出て、翌朝9時に運転できる飲酒量はどれくらいでしょうか?

例えば飲み会の1次会が夜9時に終わった場合、朝9時まで12時間あります。体重70kgの場合、缶ビール1缶分の分解に2時間かかるので、飲み会で缶ビール6本分を飲んでいても、翌朝の運転には通常響かないことになります。女性で体重50kgで計算すると、缶ビール5缶を飲んでも翌朝はまだ酒気帯び状態という計算となります。

さらに、アルコールの度数が強い日本酒の場合は15度(15%)で計算すると、
1合(180mL)を分解するのに約3時間必要です。ワインの場合は0.5本で約6時間必要です。該算で日本酒二合とビール大瓶、日本酒だけで4合、ワインの場合は1本あけると、分解に12時間必要な計算となります。いわゆるハシゴ酒をした場合は、翌日の運転にも注意が必要なのです。お酒に強いと自信がある人も過信は禁物。アルコールの分解の仕組みを知って、飲む量もしっかり自己管理するようにしましょう。

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます