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抗うつ薬の服用で自殺? うつ病治療の注意(2ページ目)

うつ病は未治療の状態が一番よくありませんが、治療中でも自殺の危険は伴います。米国の当局から抗うつ薬で治療中の若年層の自殺のリスクが警告されているように、治療中も自殺への注意は常に必要です。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

治療中の自殺のリスクに対する考察

自殺の最大の原因は未治療のうつ病なので、うつ病を治療する抗うつ薬は、当然、自殺のリスクを下げるはずなのですが、なぜ、自殺のリスクが上がるというような警告があるのでしょうか? その背景を探ってみましょう。

まず、抗うつ薬が効いていない可能性があります。抗うつ薬は飲んですぐ効果が現れるわけではなく、通常、効き始めるのに7~10日間かかります。もしも、抗うつ効果が感じられる前に、イライラ、不穏といった副作用が大きく出てしまった場合、元々あった自殺願望を強めてしまう可能性があります。また、抗うつ薬の作用には個人差があるので、その人にとって、薬の投与量が抗うつ効果を発揮するには不十分だった可能性もあります。

うつ病が重症になると、自殺願望があっても自殺を企てるエネルギーがないほど気持ちが落ち込んでしまう場合があります。もしも、抗うつ薬の効果によって、意欲やエネルギーが回復したものの、自殺願望がそのまま残っていたら、自殺を実行してしまう可能性があります。

未治療のうつ病から生じる自殺のリスクは、治療を受けた場合のリスクより大きく、抗うつ薬はうつ病の治療には不可欠なのですが、治療の有無に関わらず、心の病気、特に、うつ病では自殺のリスクは決して軽視できず、特に米国のFDAなどから警告されているように、30才以下の若年層の抗うつ薬の服用に対しては自殺に対する注意が必要であると思います。


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