営業職とは「専門家」である

営業職は、会社の根幹を支える専門職。「アプローチ」「ヒアリング」「プレゼンテーション」「クロージング」「フォロー」のプロセスの責任を持つ
企業の営利活動は、次の3つのプロセスに分解できます。

  1. 商品・サービスを開発する
  2. 顧客に商品・サービスを販売する
  3. 顧客に商品・サービスを納品することで、顧客が抱えている問題を解決する、あるいはニーズを満たす
このうち2を担当するのが営業職です。

企業の営利活動のなかで、営業職はお客さんに商品・サービスを販売することで対価を得て、それを通じて自社に売り上げ、利益をもたらす役割を担っています。 「適切な販売対象(見込み客)を見つけ、その人、あるいは企業に商品・サービスを購入することを説得する活動を行う専門家」 ともいえます。

この営業機能がないと、企業経営は成り立ちません。それほど重要な位置づけの職種であり、企業の命運を握っていると言っていい職種です。ビジネスの最前線で奮闘する職種であり、タフである反面、もっともやりがいのある仕事です。

営業マンは販売プロセスすべてに責任を持つ

営業活動は、大きく5つの販売プロセスに分かれています。

  1. アプローチ
  2. ヒアリング
  3. プレゼンテーション
  4. クロージング
  5. フォロー
それぞれのプロセスごとに、営業マンは適切な行動を取ることが求められます。どのプロセスにおいても、共通して心得として持っておかなくてはいけないことがあります。それは、「お客さんは、営業マンと商品を常にセットで見ている」ということです。営業マンは、当然自分と商品は分けて考えています。しかしお客さんは、明確には分けて見てはいないのです。

たとえば、デパートにスーツを買いに行ったとします。販売員が販売プロセスに沿って適切な接客をしてくれれば、販売員に対するこちらの評価も高まります。すると、販売員だけではなく商品であるスーツに対する評価も高まり、購入するといったことが起きるわけです。

逆に、販売員が適切な接客をしてくれないと、商品であるスーツに対してまで評価が下がります。すると商品購入に結びつきません。こういう経験は、誰にでもあると思います。つまりお客さんは、販売員と商品を一体化して見ているのです。

営業マンとお客さんの間で起きたトラブルが深刻化するケースも、「お客さんが営業マンと商品をセットで見ている」ことが根源的な原因になっていることがよくあります。 商品に不満があって、お客さんが営業マンに小さなクレームをつけてきたとします。うまく営業マンが対応すると事なきを得ますが、下手な対応を取ると「この際言わせていただくと、あなたが営業マンとしてしっかりと私にフォローしてくれないから……」などとお客さんが営業マンに対する不満までも口にし始めて、もっとクレームが大きくなったりする場合もあります。

お客さんは営業マンと商品を一体化して見ているわけですから、営業マンはまずはお客さんから評価や信頼をしっかりと勝ち得て、その信頼感をよりどころにお客さんと商品を結びつけることが求められます。するとお客さんは、営業マンと商品の両方に対する評価を高め、高い満足感を抱くわけです。

営業マンは3つの貢献を求められる

営業の世界で長く活躍を続けていくためには、「会社」を大切にし、「顧客」を大切にし、「自分」も大切にすることが求められます。

会社が売り込みたい商品をお客さんに押し売りしているようでは、短期的な成果は上げられても長続きはしません。逆にお客さんのために利益軽視で商品を販売していたら、会社の経営は成り立たなくなります。自分が楽をするためにお客さんに対して手抜きで対応していたら、やがてお客さんからそっぽを向かれ会社からの評価も下がります。

長く営業の世界で活躍を続けているトップ営業マンは、「会社に貢献」し、「顧客に貢献」し、「自分に貢献」するという「三方よし」の状態を実現できているものです。

「会社への貢献」で求められるのは、営業目標を何が何でも達成して、企業の売り上げと利益を確保することです。ただし営業目標を達成すれば何をやってもいいというわけではなく、会社が大切にしている経営理念やルールからはずれたことを行ってしまうのは、会社への貢献とはいえません。

次に「顧客への貢献」で重要になるのは、「顧客を愛すること」です。といっても人には相性というものがありますから、すべてのお客さんを好きになるのは無理です。私は個人的に営業マンは、お客さんを「個人的に好きになる」必要はないと考えています。しかし、そのお客さんが商品を購入することによって最大限のメリットが得られるように、全力を尽くすことは求められます。「どうすればこのお客さんに最大限のメリットをもたらすことができるか」を常に真剣に考えることが大事。そういう意味で、営業マンはお客さんを愛さなければいけないわけです。

最後に「自分への貢献」ですが、仕事はお金を得るためだけに行うものではありません。仕事を通じて、自己成長を目指していくことが大切になります。トップ営業マンは自分にとっての仕事の意味や現状の課題、今後の目標を明確に語れます。これまで携わってきた仕事が、今の自分の成長にどのように結びついているのかについても、具体的な言葉で語れます。これは自分に対して強い関心を持ち、自分を大切にしているからです。

信頼され愛される営業マンをめざせ

「営業マンが仕事をしていくうえで、一番大事なものは何ですか?」と聞くと、「誠意や誠実さ」と答える人がたくさんいます。でも本当にこれは正しいのでしょうか? お客さんの立場に立って考えてみましょう。

お客さんは営業マンとのコミュニケーションにおいて、2つの根源的な欲求を持っています。1つは「自分を丁重に扱ってほしい」ということ。そしてもう1つは、「自分に価値を提供してほしい」ということです。

多くの営業マンは、「自分を丁重に扱ってほしい」というお客さんの欲求ばかりを満たそうとして、つい相手にぺこぺこしてばかりの営業になっています。確かにそれでお客さんから親近感は得られるかもしれません。しかしこれだけだと、大事なものが抜けて落ちています。お客さんへの価値の提供です。

愛想はいいが頼りがいがなくまったく価値も出さない営業マンに、お客さんは大事な時間を使おうと思うでしょうか。「この営業マンは、自分に価値を提供してくれる」という信頼感を勝ち取らないと、お客さんとの関係は深まっていきません。

親近感と信頼感。言い換えれば威厳と愛嬌の両方をお客さんに対して発揮できるのが、優れた営業マンです。ぜひ信頼され愛される営業マンを目指してください。