様々な対人関係を垣間見せてくれるグループ面接
グループ面接突破のコツ
本当は一人ひとりを十分に査定したいのですが、実際にはそれは難しい。必然的にまとめて選考が可能な「グループ面接やグループディスカッション」が多く活用されるようになっていったのは周知の通りです。
しかし、最近の選考背景はその頃とは大きく事情が変わり、全く別の意味で「集団での選考」が重視されてきているのです。当の私自身もクライアント企業から依頼された採用現場では、このグループ面接を好んで多用している。逆に1対1の個人面接をせずに、グループ面接の選考結果で決済者(社長・役員)の前に送り出すケースも多いのです。
「ナゼか……」
それは、「リアルな人との関わり」に不慣れな人達が急激に増えてきたという時代の背景があるからです。ビジネス社会に出れば日常が全て人との関わりの中。その中で自分を表現したり、個性を発揮して距離をつめていくのが仕事の醍醐味。
そういった様々な対人関係を垣間見せてくれるのが「集団での選考」という訳なのです。隣には同じ立場の人が並び、少し距離のある正面には自分をジャッジする人がいる。その空気感の中でどう自分を表現していくか…就活生から見れば、ある意味個人面接よりも難しい場になってきているのかも知れません。
皆、自分よりも優秀な人に見える…それでも自分自身を
就活生が選考会場で最初にぶつかる壁は「周囲の学生が皆自分よりも優秀な人に見えてしまう」こと。そんな緊張感一杯の中で自分自身を見失わずにいるのは大変なことです。あなたが落ち着いて選考に臨むためにも、まず必要最低限のビジネスマナーは身につけておく。面接官から見てもその一目瞭然の差はその後の評価に大きな影響を及ぼすこととなるのです。立ち居振舞いを整えよ!
3人、4人と就活生が並んで座れば、面接官には否が応でも「比較の目」が生まれます。挨拶・表情・立ち姿勢・座り姿勢・上着の処理・カバンの置き方までが一度に視界に入ってくるのですから。面接官にとって、就活生とのほんの2メートルほどの距離は非常に有効な「評価の距離」なのです。頭の先からつま先まで、全てがあなたの表現の場です。猫背の就活生、締め切れていないネクタイ、磨きの無い靴……だらしなさ、見られています。質問の意図を察する人、感じない人、横並びの人
面接官は必ず「質問の意図(この質問で何を知りたいのか)」を含んで問いかけてくる。これは個人面接でも同じことですね。「あなたの◎◎は何ですか?」
「はい、私の◎◎は○○です」…ではなく
面接官が知りたいのは「その背景や動機や成果から、あなたの考え方・行動特性・性格・素の人物像」ですよね。しかし緊張していればしているほど「質問に答える」だけで精一杯になり、思わず横並びの答え方を踏襲してしまう人が本当に多い。これは「グループ面接の伝染病」とも言えます。
あなたは面接官の質問を良く聴いて、意図をしっかり感じ取って下さい。そしてもし、自分以外の誰かの回答に違和感を感じたら、あなたは落ち着いて堂々と「自分の応え」を語ることが大切なことです。
しまった!先に言われてしまった……どうする?
せっかく用意した答えを先に言われてしまうと、頭が真っ白になってしまいます。でもこれは面接官の中では想定内の出来事です。多くの就活生は「お隣の方と同じ意見なのですが…うんぬん」と語り始めますが、かえって人真似感が漂うものです。あなた自身の意見を持ち、「私はこれは◎◎◎と考えています。と、言いますのは…」など、堂々と話し始めましょう。考え方の方向性は同じだとしても、全く同じ言葉で表現する人はいません。自分の意見を持っているか、そしてそれを伝えることができるかどうかを見られているのですから、たじろがず落ち着いて対処しましょう。
些細なことこそ仕事の協力者としては大切なこと
例えば「電車内の座席」-隣の人に気配りをできない人に腹立たしさを感じたことはありませんか?これは、集団行動の基本…というより常識の範疇ではないでしょうか。些細なことかも知れませんが、そんな些細なことこそ仕事の協力者としては大切なことなのです。グループ面接で同列に並んだ就活生は、ライバルではなく同期の候補者です。気配りをして座る・真摯に意見を聴く・見下さない…など、あなたの気配りの姿勢はしっかりと見られているのです。一番見えてくるのは「就労観の差」
全く違う環境から来てそこに列席する人達。例え入社したい思いが同じであったとしても「就労観の差」によって大きな開きが出てきます。就労観とは、働くことの捉え方・働く価値の持ち方です。簡単な質問の答えの中にその姿がハッキリと表れてきます。採用とは「いい人」を選ぶのではなく、「よく働く人」「一緒に働きたい人」を選ぶもの。グループの中で目立たなくてもいいのです。職場には主役も脇役もお世話係も必要なのです。地に足着いた言葉、生命力を感じる声、そして「何故働きたいか」を明確にして臨むことが、やはりグループ面接突破の確率を上げる最善の策と言えましょう。