相続・相続税/相続の事例・トラブルと対処法

本家相続でもめないためには人間関係が大切(2ページ目)

一般的に相続は、最初に父から母・子への相続、次に母から子への相続になります。父の相続のときは母の存在もあり何とか治まります。しかし、母から子への相続のときにもめてしまうことが多いようです。そんな母から子への相続でももめなかったケースを紹介します。

執筆者:加藤 昌男

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兄弟仲をよくするために長男がしたこと

心配り

心配りが大切!

この事例は、まずはじめに父の相続で遺産の5割を母が、4割を長男が、残り1割を他の兄弟たちが相続し、長男が家を守っていくことになっていました。その後、ちょうど長男が相続した土地を県が道路用地として買ってくれることになったため、長男は兄弟全員を集めてその話をしました。「先祖の土地を預かっているんだけど、その土地がお金になった。ついては少ないけど……」と言って全員に100万円ずつ渡しました。

他の兄弟たちは、長男が墓守や同居の母親の面倒をみて、さらに近所づきあいなどもしっかりとしてくれ、とても大変な生活を送っていることはしっかりと理解していました。しかも、家や土地については長男に任せていたので、元々何も文句を言うつもりなどありませんでした。しかしこの件によってますます、「あの兄貴に任せておけば安心」という感じになったのです。

その他にもこの長男は、兄弟達が法事に集まったときには、彼らに交通費を出すよう心配りをしています。

この100万円が多いか少ないかの問題ではありません。長男としての他の兄弟に対する配慮・心がけの問題です。こういった長男の姿勢が兄弟の絆を強め、こうした関係が相続の話合いのときには大事になってきます。
 

 

母がしたこと

母は、兄弟たちがそれぞれ実家に来たときに、長男に家を継がせるために協力して欲しいと伝えました。そして、自分が死んだ際には死亡保険金が長男を除く兄弟たちにそれぞれ500万円ずつ支払われるようになっていることを伝えました。

この結果、母の相続のときには、遺言なしに兄弟間の話合いのみで長男は本家相続をすることができました。
 

 

本家相続には心配りが大切

さて、今回ご紹介したケースは参考になったでしょうか。本家相続をした際、相続した人間は「先祖の財産を子孫に継承するために一時的に預かっている」という気持ちを持つことが大切です。また、他の兄弟の了解なしに本家相続はできませんから、他の兄弟に対しても心配りをきちんとすることが必要ですね。

遺産分割には相続開始前までの人間関係が大きく影響するというのが、相続のプロとしての私の実感です。日頃から、兄弟などの人間関係がうまくいっていたり、信頼関係があれば、遺産分割の話合いのときも意思疎通は生まれやすいようです。
 

【関連記事】
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