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光で変わる、顔と情景(2ページ目)

懐中電灯で顔を下から照明して人を驚かせたことはありませんか?顔に付く陰影で表情は全く違って見えるものです。それが最大限に生かされているのが能や歌舞伎と言えますが、今回はその効果に注目してみます。

中島 龍興

執筆者:中島 龍興

照明ガイド

変化を楽しむ絵画の照明


写真3.
立体だけでなく、絵画などの平面でも光のあて方によっては、絵の情景そのものが変わります。これらは照明会社(遠藤照明)のショールームで実際に試みたことですが、例えばフェルメールの「ミルクを注ぐ女」では、普通の照明でも窓から入る自然光に照らされている感じがよく表現されていますが、絵画の自然光が降り注ぐ方向から白色光で照明すると(写真3.4)よりその情景を強調して見せることが出来ます。

一方、ドガの踊り子のように蝋燭かガス灯かは分りませんが足元からの舞台照明で描かれた絵画では、暖かな光で下から照明することによって(写真5)、より絵画の雰囲気を楽しむことが出来ます。もちろん本物の絵画を照明する場合は、紫外線や赤外線による退色や劣化を防ぐため、ガラスケースに納められ、極力光量を落とした中で鑑賞するのが一般的です。


写真4.
これらの常識を破った展示会がこの夏に東京国立博物館で開催されました。「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」では、一部ではありますが光のあて方にこだわった展示がされていました。

「江戸時代にはガラスはなかった」というプライス氏の意向により、ガラスケースは取り払われ、光のあて方と光色が変化する中で、江戸絵画の素晴らしさを味わうことができます。このような展示が実現したのもコレクションそのものを持っているプライス氏の配慮が大きかったと思われます。

展示ごとに自然光をイメージした直管型蛍光灯による白色光とハロゲンランプのスポットライトがそれぞれ調光によってゆっくりと変化し、絵画の情景まで移り変わっていくように感じられ、光の変化によって絵画の見え方がこれほどまでに変化することに驚いている来客者も多いようです。


写真5.
惜しむらくは、江戸時代は行灯などの低い位置からの明かりが主でしたので、上からではなくてやや下からの照明によって見ることが出来るとまた雰囲気が変わるのではないかと思われました。

スイッチをいれれば明るさを簡単に得ることの出来る現代では、ほのかな光の変化を楽しむ機会が少なくなっています。ちょっとしたことではありますが、絵の鑑賞から光とものの見え方を考えてみるのも良い機会になるかもしれません。

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