京都グルメ/京都の和食

白子筍 特集(2ページ目)

京の星付き料理店「和ごころ 泉」さんによる、春の食宝とも言うべき「白子筍」を使った特別コースを御紹介いたします。

執筆者:麻生 玲央

・先附
先附。
器は料理の着物。一流の料理には一流の器なのです。
「樂」の13代目「惺入」の器で供していただいたのは、「くみ上げ湯葉羹」「雲丹(根室産)」「車えび」「花山葵」の煮こごり酢和え。これは全体に掛かっているジュレの酸味が効果的で、キレがありながらコクもあり、一口毎に食欲を倍増させてくれるのです。とりわけ印象的だったのは、雲丹と車えびのという贅沢な組み合わせを口に運んだ時で、ジュレの酢の酸味の後を追いかけていくかのように、素材が持つ旨味エキスが舌に馴染むように拡がっていく流れは、格別物。他にも、「くみ上げ湯葉羹」も滑らかで品のある仕上がりとなっており、この柔らかな食感の生み出し方も秀逸です。


・椀物
螺鈿。 螺鈿。
美しすぎる螺鈿 器からも季節が感じられます。
まずは蓋を開けた瞬間に、思わず息をのむ程の見事な螺鈿の御椀! 春の季節に合わせて梅と桜の蒔絵がドーン! と視界に入り込み、まずは器の美しさで季節感を堪能させてくださいます。


椀物。
白子筍の登場です。
そして、次に視界に映るのは、今回の「白子筍コース」の主役でもある、「白子筍」の淡く艶やかな御姿! 顔を近づけると、湯気と共に木の芽の香りと、青きファーストノートがふわっと軽やかな春風のように鼻腔を過ぎ抜け、端正に盛り付けられた椀タネが何とも食欲を刺激してくれるのです。

食べるのが勿体無いとさえ思える芸術的な盛り付けに、箸をつけることに躊躇しそうになりますが、まず最初の一口をゆっくりと舌に這わせると、甘味(旨味)と塩味の合わさった円やかな味わいが拡がります。

また、椀種には白子筍と共に新物の若布が入っており、これが新鮮さがよく伝わってくる仕上がりで、出汁にもエキスがよく行き届いており、若竹煮のような活かし方。そしてそれら「白子筍と若布」の黄金コンビ以上にも負けない存在感なのが、もう一つの椀種である「のれそれ」のしんじょう! 驚くほどに滑らかな柔らかさで、口に含んだ瞬間にとろけるように溶けていく食感は、一度食べたら忘れられない仕上がりとなっていました。

次ページでは、白子筍コース後半を御紹介します
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