かき天とハーフ・ロック
「和の料理とウイスキーは合わせづらい面もありますが、でも料理によっては意外と愉しめるんですよ」酒と料理の話題に尽きない、吟ばんオーナーの川上浩輝氏。 |
和食のコース料理で知られている店で、いまの季節は寒ぶり、寒平目、あんこう、鱈、かきといった冬の旨味が堪能できる。鍋はクエ鍋、あんこう鍋、鱈ちり鍋、ぶり大吟醸酒粕鍋の4種類が用意されている。そしてメインの酒といえばやはり日本酒(地酒¥600~)だ。川上氏厳選の特別銘柄酒の名がメニューには並んでいる。
ところがだ。ここではウイスキーがしっかりとしたポジションを獲得しているから面白い。焼酎よりウイスキーのほうがはるかに愉しまれている店なのだ。
「食べ合わせ」をテーマに、川上氏は煮物、焼物、素材などに合わせてウイスキーを奨めている。
「干物や珍味にウイスキーはもちろん合います。それ以外にはね、かきの天ぷら(¥750)、白子の天ぷら、ぶり二色焼きなどにも合います。かきの天ぷらは天ころもにかきを叩いて入れてまして、味も香りも愉しめるんですが、ウイスキーのハーフ・ロックとの相性は最高です」
揚げたての熱いのを食した後、ウイスキーを口に浸潤させる。たまらんよな。
鮎を追いながらウイスキーを味わう
夜になると灯る行燈の先には、落ち着いた大人の時間が広がる。 |
たとえば若さを愉しむ稚鮎は酢炊きで、ピュアモルトの北杜12年(45ml、¥700)を奨める。シーズン最後の落ち鮎は山椒炊きとなるが、こちらはシングルモルトの山崎12年(45ml、¥1.300)との相性となる。
私はこれを聞いて、鮎のシーズンは最低4回ぐらいは足を運ばないといけないなと、いまから尻がムズムズしている。
川上氏は最近、ウイスキー&ソーダに関心を持ちはじめているらしい。今年の夏あたり、鮎の成魚とハイボールなんてのの相性を考え出すんじゃないだろうか。ハイボールと和食の妙に、私は期待している。川上氏にプレッシャーをかけるつもりはないが、呑兵衛の誠に勝手な願いである。祈っている。(次頁へつづく)