カナディアンウイスキーを紹介しよう。
5月末の記事、“私の好きなカクテル”でドライ・マンハッタンについて述べた。その中でカナディアン・クラブ(以下CC)というウイスキーの名を出したところ、カナダのウイスキーについて教えて欲しいとの声が届いた。
カナディアンウイスキーは世界の5大ウイスキー、アイリッシュ、スコッチ、アメリカン、ジャパニーズの中でも最も軽快でマイルドな香味といえる。
ウイスキー入門者にはすすめやすく、ソーダ割りですっきりとした味わいを愉しんで欲しい。
歴史は18世紀末。1763年に英国領となり、イギリス人の移住が多くなりはじめてからのことになる。栄えるようになったのは19世紀になってからで、5大湖周辺セント・ローレンス河畔にたくさんの蒸溜所ができた。
ウイスキー産業が飛躍的に発展したのは、1920年のアメリカの禁酒法施行によるもの。
禁酒法下のアメリカ北部の市民が国境を越えて酒を求めに来るようになり、それによる密輸も多量にのぼった。悪酒が横行していたアメリカで、良質なカナディアンウイスキーは一気に人気を獲得して、ウイスキー大国とまでなった。
人気のボトルのひとつにカナディアン・クラブ(¥2, 500)、CCがある。
CCの創業は1858年。アメリカ・ボストンで穀物商をやっていた青年、ハイラム・ウォーカーがカナダ最南端のオンタリオ州で蒸溜をはじめた。ウォーカーのつくるウイスキーは男たちの集まるクラブで人気となり、クラブ・ウイスキーと名付けられ、19世紀末にいまのCCになった。
軽く華やかなタイプで、日本でもカナディアンウイスキーの定番として酒場のボトル棚に置かれている。