ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

夫の遺志を継いで造る。レ・マッキオレ(6ページ目)

スーパータスカン発祥の地ボルゲリで、強烈な存在感を示したカンポルミ氏亡きあと、夫人が造り続ける『レ・マッキオレ』。このワインは言うなれば、チンツィアがエウジェニオに捧げるオマージュである。

執筆者:橋本 伸彦

新ワインと新ラベル

IGT(左)からDOボルゲリに移行
パレオに使うワインを選別して格下げした『マッキオーレロッソ』と呼ぶIGTトスカーナは力強い2003年ヴィンテージが最後。畑の区画を決め造りを一新したワイン『DOボルゲリ』2004年に切り替えた。

樽発酵、ステンレスタンクで酸素を吹き込むマイクロオキシジェネーションで熟成。プラムやチェリーのような瑞々しい果実味があり、若々しくさらりと伸びやかな味わいでありながら、構成がしっかりしている。

また、メルローのみを使う『メッソリオ』はラベルのデザインを変え、より落ち着いた印象を受けるものとなった。

夫の哲学を継承する

『メッソリオ』は2002年から新ラベル
こうした変更は、エウジェニオの哲学である「畑主義」とでも言うべきこだわりを継承しつつ、チンツィアの合理的で理知的な性格を反映しているようでもある。

さいわい、エウジェニオの仕事を手伝ってきたマッシモにとって、盆栽でもいじるような細やかな畑仕事は得意とするところである。畑の仕事に要する経費がびっくりするほどかかって、チンツィアが注意を促すと弟はいつもうそぶく。「いいじゃないか。畑良ければ全て良し、さ。」

エウジェニオに魅せられた人間は、どうやらチンツィアだけではないようだ。そしてレ・マッキオーレのワインに魅せられる者は、増える一方である。


■ 本文中のワインと税抜参考小売価格

Bolgheri Rosso 2004 \3,000
Paleo Bianco 2004 \5,700
Paleo Rosso 2002 \8,500
Messorio 2002 \15,000

■ 輸入元: モトックス 

■ 参考書籍: 川頭義之『イタリアワイン最強ガイド』(文芸春秋)
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