ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

夫の遺志を継いで造る。レ・マッキオレ(5ページ目)

スーパータスカン発祥の地ボルゲリで、強烈な存在感を示したカンポルミ氏亡きあと、夫人が造り続ける『レ・マッキオレ』。このワインは言うなれば、チンツィアがエウジェニオに捧げるオマージュである。

執筆者:橋本 伸彦

さらなる品質向上を

エウジェニオは40歳の若さでガンにかかり2002年の夏に亡くなった。その時のことを尋ねると、笑顔は一転して曇った。「ごめんなさい。今でもあの頃のことは冷静に話せなくて…」と涙をにじませる。

亡くなった後、誰に相談するまでもなく、自分が夫の遺志を継がなくてはと直感した。ワイナリーを譲って欲しいという申し出もあったが全て断わり、以前から手伝っていた実弟のマッシモが畑を、ルカ・ダットーマの助けでチンツィアが醸造を担当し、夫が最期まで心配していた難しいヴィンテージである2002年を乗り切った。

2001年の赤(左)、2003年の白。トップワインの『パレオ』

2001年のたっぷりと果実味が熟しきったパレオと比較すれば、引き締まってミネラルやクローヴのようなスパイスが際立っている2002年ヴィンテージ。厳しい選果で生産量を大幅に落としている。「実際は平均気温や9月の雨量は2001年と大差ないのです。同じく難しかった1996年が立派に熟成しているように、2002年も変化して行くはずです」という。
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