追悼 市川崑監督作五傑！(2ページ目)

９人もの愛人を持つ男の物語 『黒い十人の女』

十兎追う者は殺される？『黒い十人の女』

テレビプロデューサーの風末吉にむらがる女は多く、女たちが結託して彼の死を願う声まで聞かれる始末。恐ろしくなった男は、普段見向きもしなかった妻に相談するのですが、妻は他の女たちの前で大芝居をうつのです……。誰にでもいい顔をする男とその彼に群がる現代人の内なる孤独を描いた異色作です。

【作品情報】
・1961年／日本映画
・上映時間：103min
・出演：船越英二、山本富士子、岸恵子、中村玉緒、岸田今日子

高度経済成長期の一大イベント 『東京オリンピック』

英国アカデミー賞長編記録映画賞受賞作『東京オリンピック』

競技そのものより、スポーツに携わる人々の表情を克明に描いた本作は記録的ヒットとなったドキュメンタリー映画です。公開当時は体育関係者からクレームがついたとか……。

国威発揚というより、人間を記録した市川精神に脱帽です。オリンピック映画としても世界最高水準の作品です。あの日のマラソンのアベベの姿を今でも思い出します。

【作品情報】
・1965年／日本映画
・上映時間：170min

アンチ・ヒーロー像を時代の視点で描いた 『股旅』

アンチ・ヒーロー像を描く『股旅』

どん底にいながら喘ぐチンピラヤクザの青春時代劇。チンピラ三人は父を斬ったり、女を売り飛ばすなど、人の道からはずれながら旅を続け、そしてみじめな死を迎えるのです。

主演が70年代シラケ世代の代表ショーケンと、小倉一郎、尾藤イサオという「爽やかな捻くれ」キャラのキャストの魅力も手伝った新感覚アウトロー映画です。音楽が久里子亭となっていますが、これは市川崑監督のペンネームです。

【作品情報】
・1973年／日本映画
・上映時間：96min
・出演：萩原健一、小倉一郎、尾藤イサオ、井上れい子

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紹介した作品以外にも、２度も映画化した『犬神家の一族』をはじめ、『どら平太』、『四十七人の刺客』、 『細雪』、『おはん』、『おとうと』など秀作はまだまだあります。テレビドラマ「木枯し紋次郎」も面白かったですね。市川監督！素晴らしい作品を沢山残してくださってありがとうございました。

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