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夏ドラマ概況:金妻から25年『四つの嘘』(2ページ目)

2008年の夏ドラマを紹介。中でも、ドラマ「四つの嘘」は、アラフォー女性の恋愛と人生を描く作品。見所や視聴率についてお話しします。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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視聴率的にはヒットとはいいがたいですけど、内容でガイドおすすめなのは四人のアラフォー女優が中心の大人向けドラマ『四つの嘘』。

4人の女のうち、最初からキャラが立っていたのは昔から魔性の女の原詩文(永作博美)と昔は成績トップで学校一の美人で生徒会長、今は仏壇屋の奥さん・西尾満希子(寺島しのぶ)。

原詩文が若いボクサーの汚いアパートで目覚める登場シーンから魔性の女という雰囲気がぷんぷん。今の恋人である若いボクサー安城英児(勝地涼)の減量中はセックス絶ちする約束で「いっしょにガマンする約束でしょ、ガマンする方が後でステキなのよ」と妖しく癒してくれるのが男性にとって魅力です。
詩文はボクサーとつきあうことについて試合後はオスとしての生身の欲望が爆裂し「こんなわたしでも命が息づいてくるようになってくるのよ、息だけしているようなわたしでも」と刹那的に生きるしかない意味を語って居ます。

一方、西尾満希子は「便座をおろせ」「おならしないで」の説教や、婿養子の夫(渡辺いっけい)との会話のすれ違い方など、生活感のあふれ方が身につまされます。昔は「成績トップで学校一の美人で生徒会長」というキャラは寺島しのぶぽくない、だいたい高校生時代を演じている石田未来と似てません。寺島しのぶは20歳でデビューした頃から見ているけどその時から老け顔だった。今ようやく顔に実年令が追いついてきました。ところがそのギャップが「昔とは全然違ってしまった」感を出していて妙におかしい。そして寺島しのぶがその役を楽しげに演じているのが印象的。

アネゴキャラでむしろ元生徒会長的な高島礼子は昔ガリ勉、今外科医の灰谷エリ。研修医におごってる時に「おごってるんだから笑わせなさいよ」と強要、バージンじゃないかというウワサを質問されて「0.5人くらいかな」と本気とも冗談ともつかない返事ですっかり乾ききっています。しかしボクサー英児とのカラミもでてきて今後は濡れてきそう。

戸倉美波(羽田美智子)は高校時代はいけてなかったけど冒頭で河野と不倫旅行先で事故死し、好きな男と死んだから「私の勝ちよ」といいナレーションを担当するというのも人を食っています。
4人の高校生時代役やそれぞれの娘役でまだ知名度の低いも若手女優も隠れた見所。永作博美の高校時代の入来茉里はたしかに魔性ぽいし、羽田美智子の高校時代を演じている下垣真香の垢抜けてなさもいい。夏ドラマは高校生役ができる若い俳優でいいのは根こそぎ『太陽と海の教室』が持って行ってしまっているので、他のドラマは隠れているのを掘り出してこないといけないけど『四つの嘘』はそれができてます。

女性4人が元女子高の同級生でそのうちの二人は一人の男を争った過去がある、という設定は『金曜日の妻たちへ3~恋におちて』を彷彿とさせます。高校時代として描かれる85年は『金妻3』が放送された年でもあります。
滑り出し快調、脚本の大石静が以前書いた小説のドラマ化だからストーリーはだいたい固まっているはずので今後の展開にも期待が持てます。


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