男の腕時計/その他の国の時計

数字に見るスイス時計産業(2ページ目)

4月になると、恒例の時計フェアがスイスで開催され、数多くの新作が華々しく発表される。しかし、話題の機械式時計だけを見ていては、産業の実像はわからない。現状はどうなのか、数字からさぐってみよう。

執筆者:菅原 茂

スイス時計の輸出統計から見えるもの

輸出(スイス時計のほとんどは国外向け)の点から2006年の時計を見れば、総輸出個数2490万個、そのうちの約15%、すなわち375万個ほどが機械式で占められている計算になる。金額ベースで見ると、総輸出137億スイスフランのうち約3分の2に相当する80億スイスフラン以上が機械式。まさに頼もしい稼ぎ頭だ。

2000年の頃までは、金額でもクォーツ時計が機械式を上回っていたのだが、以降は機械式が年々右肩上がりに急成長を遂げている。つまり個数では圧倒的にクォーツ時計なのに、価格では機械式が完全に主役という図式だ。ちなみに、以上の数字をもとに、スイスフランを約100円として、金額を個数で単純に割り算すると、機械式時計の1個あたりの輸出平均単価はざっと20万円になる。ただし、それがそのまま小売り価格ではない点は注意する必要がある。脚光を浴びる高額な機械式時計が牽引役を演じ、こうした数字に今後ますます拍車をかけていくのはまず間違いないだろう。

時計輸出国(個数ベース)
中国、香港の圧倒的な数量は、量産クォーツ時計が支えている

時計輸出国(金額ベース)
時計はスイスの三大産業の一つ。莫大な輸出額が富をもたらす

スイスが世界有数の時計輸出国なのはたしかだが、先に述べた総輸出個数2490万個は、世界で第3位。第1位は中国の6億9160万個、第2位は香港の5億2110万個になり、個数比較では、それらの20分の1にも達しない。ちなみに、日本はスイスのさらに14%程度の300万6000個に留まる。ただしここでも金額ベースで見直すと、総輸出額137億スイスフランは、他国を大きく引き離してトップの座を占め、時計大国スイスの貫禄を示している。

引き続き機会を設けて、数字から見た時計の世界をトピックとして紹介していきたいと思う。また、ぜひスイス時計協会が発表する統計資料にも目を通すことをおすすめする。意外な発見があって、一段と時計に興味が湧くに違いない。

【関連リンク】
スイス時計協会
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