時計関連情報

更新日:2007年11月08日

太陰暦を表示するムーンフェイズ

時計の機構に月の満ち欠けを表示するムーンフェイズがある。これは、文字盤のデザイン要素などではなく、太陽とともに時間や暦の起源と深く結びついている。その背景と興味深い仕組みについて紹介する。

カレンダーの起源は月にあり

1か月はおよそ30日、1年は12か月である。なぜそうなのだろうか。その答えを説く鍵は月にある。月の満ち欠けの周期は約29.5日。これが12回繰り返されると、同じ季節が巡ってきて、1年になるというわけだ。もちろんこれでは、日数を合算しても1年が365日に満たないが、さまざまな方法を考案して便宜的に調整してきた。また、1日の昼の時間と夜の時間を12という数で分割した理由も、この月の周期と関係していたという。ここでは詳しく述べるスペースがないが、暦の起源に関心がある方は、ぜひ専門書をひもといてもらいたい。
ジラール・ペルゴ1966
伝統的なムーンフェイズ(6時位置)とトリプルカレンダー(日・曜日・12か月名)を配した「ジラール・ペルゴ1966 フルカレンダー」。自動巻き。18Kピンクゴールド・ケース。168万円。撮影:石井幸久

ふつう時計の文字盤に針で示される時刻は、「平均太陽時」といって、1日を人為的に24等分した時間である。一方のムーンフェイズは、新月(朔)から新月、あるいは満月(望)から満月という「朔望月」を表す。つまり太陰暦である。ムーンフェイズがカレンダー表示とよく組み合わせられるのも、暦としての役割にある。

ムーンフェイズのフェイズとは「相」、つまり地球から見たときの形を指す。地球を回る月の位置と、月に当たる太陽光によって、この相に変化が生じる。日本語に三日月や十五夜といった言葉があるように、新月から数えて3日あたりに弓形の相、15日あたりに満月の相になる。

月は、潮汐をはじめ、自然現象や動物の行動や生理現象との結びつきが観察され、古くから人間の生活に深く根を下ろしていた。中世ヨーロッパに機械式時計が登場して以来、時計にムーンフェイズ表示がしばしば加えられてきたのもそのためだろう。懐中時計の時代になると、文字盤に設けられた窓に月の姿が現れたり隠れたりする表示機構が確立する。ブレゲが18世紀後半に作った時計には、現在と同じ仕組みのムーンフェイズがすでに用いられている。

次ページでムーンフェイズの機構を紹介
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菅原 茂

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