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離婚時に年金を分ける制度は妻に有利?

4年連続で離婚件数が減っています。離婚を思いとどまるカップルが増えているのか、2007年の4月まで我慢している妻が多いのか。離婚と年金分割のお話です。

山口 京子

執筆者:山口 京子

家計簿・家計管理ガイド

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離婚
4月になったら離婚?
4年連続で離婚件数が減っています。離婚を思いとどまるカップルが増えているのか、2007年の4月まで我慢している妻が多いのか。離婚と年金分割のお話です。

離婚予備軍?


離婚を考えたことがある人なら、2007年4月から始まる「離婚した時に夫の年金を分ける制度」をご存知だと思います。社会保険事務所が、昨年の10月から始めた「年金分割の試算と相談のサービス」を今年1月までに利用した人は約1万9500人。そのうち8割が女性でした。団塊の世代が一斉に退職し始める年にこの制度が始るので、熟年離婚が増えるのでは?とも言われています。

「年金が半分もらえるなら、老後も安心。4月になったら離婚しよう!」

そう考えていたとしたら、ちょっと待って下さい。この制度が使えない場合や、この制度を使っても「老後は安心」どころか、かえって心細くなってしまう事もあります。では、くわしく見てみましょう。

離婚時の厚生年金の分割制度


この年金が半分もらえる制度とは「離婚時の厚生年金の分割制度」のことです。2007年の4月と、2008年の4月の2段階で実施されます。

■2007年の4月から
2007年の4月以降に離婚すると、夫婦の同意の上で、最大厚生年金部分を1/2に分割出来ます。同意が得られなければ、家庭裁判所の手続きで割合を決めます。

■2008年の4月から
相手の同意が無くても、専業主婦なら(年収103万円以下のパート等も含む)厚生年金部分を1/2に分割出来ます。

なんだか、女性の強い味方のような制度ですが、いくつかの注意点があります。

年金分割制度の注意点


■国民年金、個人年金、企業年金は対象外
将来受け取る年金なら何でも半分になりそうですが、そうではありません。基礎年金部分にあたる国民年金は、国民みんなが加入していることになっているので、対象になりません。対象になるのは、会社員の厚生年金部分と、公務員の共済年金部分だけです。自営業の夫が加入する国民年金は対象外ですので、離婚してももらえません。個人年金や企業年金も対象外です。

■もらえるのは、婚姻期間の分だけ
分割の対象になるのは、結婚していた期間だけです。結婚してすぐ成田離婚をした場合、将来夫がもらえる年金の半分がもらえるのではなく、結婚してから離婚するまでの短期間の厚生年金部分だけが対象になるので、もらえる年金は少なくなります。

■半分もらえるとは限らない
2008年の4月までは、夫婦の同意があって最大で半分もらえるということで、必ず半分もらえるという訳ではありません。自動的に半分に分割されるのは、2008年の4月からの離婚した時まで。それも妻が専業主婦の場合のみです。

■夫が60歳になっても妻は受け取れない
妻が年下の場合、夫が60歳になって年金を受け取ったとしてもすぐに厚生年金部分の分割部分が受け取れる訳ではありません。自分が年金を受け取る年までは分割した年金を受け取れないのです。また、会社員の妻は払わなくてもよかった国民年金の保険料を離婚後は自分で払う(所得によって免除制度があり)ことになります。

女性の味方の「年金分割」ですが、中身をよく見てみるともらえる年金は、夫の受け取る年金の半分ではないことに気付きます。

次のページでは、離婚する?しない?どちらが年金を受け取る時にお得かチェックします。

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