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定額預金のインフレリスクを検証する

定額貯金のような元本保証・固定金利の金融商品はインフレに弱い!というのが「定説」ですが、本当にそうなのでしょうか?

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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ふと目にした記事に、「元本保証・固定金利はインフレ時には資産が目減りしてしまうインフレリスクあり(例)「1970年代のJR(旧国鉄)の大人初乗り運賃は30円、現在は130円。当時は100円あれば3回電車に乗れたが現在では1回も乗れない……」。なるほど……。

1970年代の元本保証・固定金利・長期運用の代表といえばもちろん「定額貯金」です。1万円を1974年から定額貯金(預入期間10年)で2004年まで30年間運用した場合、元本はいったいいくらになったのでしょうか。
預入年 金利(%) 元本(円) 満期手取り金額(円) 備考
1974 8.00 10,000 21,900
1984 5.75 21,910 35,280 1988年マル優廃止
1994 3.15 35,280 45,630  
*概算です。
*1994年満期時の手取り金額には10年間分20%源泉徴収課税しました。

970年代の電車の初乗り運賃30円→現在は130円=約4.333倍になった。
1974年から30年間定額貯金で運用した1万円→2004年には45,630円=約4.56倍になった。


これは意外です。定額預金で30年運用しても物価上昇に結構対応しています。 
現在は超低金利といいますが、2005年4月の某銀行の5年定期預金金利は0.7%。これに消費者物価指数の下落分を考えると利回り1%程度は確保できることになります。

全国の消費者物価指数を見ると
  総合指数 前年同月比 基準年
2003年度 98.0 ?0.2 2000
2004年4月 97.9 ?0.2 2000
2005年2月 97.1 ?0.4 2000


1970年~1980年の定額貯金の金利は今から見ると夢のような数字です。しかしインフレ時にはこのように金利も高いのです。時々の元本保証・固定金利商品の中から金利の高いものを選び長期間運用するとインフレリスクに対してある程度の耐性があることがわかります。

確かに元本保証・固定金利商品だけではインフレリスクを完全にカバーすることは不可能です。資産運用のメインは元本保証の金融商品、その補完としてどのような金融商品をどの程度の割合で投資するか、まずは貯蓄と投資の勉強が不可欠です。

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消費者物価指数(CPI:consumer price index)
物価の変動を見るために、100を基準にして計算した数値。2001年3月19日、量的緩和策の実施期間の目途に採用。
消費者物価指数とは、全国の一般消費者世帯が購入する商品とサービスの総合的な価格の動きをわかりやすくした数値のことです。1946年に作成を開始し、総務省が発表しています。
消費者物価指数は、基準となる年を決めて、その基準年の価格と比べてどれぐらい物価が変化したかを調べるものです。指数というのは、基準年の物価を100として物価の動きを表したものです。物価指数が200になると、物価が2倍になったことを示します。
基準年は5年ごとに改定され、指数に使われる商品も選び直します。商品やサービスには596品目が選ばれ、全国の167市町村に約700の調査地区を設定して調査しています。
消費者物価指数は、景気がよくなると物価が上がり、景気が悪くなると物価が下がる傾向を景気判断の目安に利用するものです。
(「FAAフィナンシャル・アーティスト・アカデミー株式会社◆よくわかる!金融用語辞典」より抜粋)
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