資産運用/資産運用をするときの鉄則

大投資家の名言 ジョン・ボーグル

インデックス・ファンドの創始者、ジョン・ボーグルは米国の投信業界の構造改善に努力し、運用会社が個人投資家に奉仕する体制を徹底的に追求しました。日本はさらに遅れています。まずは私たちが目覚めるべきです!

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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大投資家の名言第6回はやや異色です。アメリカの投資信託業界の「異端児」といわれているジョン・ボーグルの登場です。

そのジョン・ボーグルの名言は「健全な長期投資にとって、直感こそが敵であり、理性こそが友である」

ノーロードのインデックスファンドを作った大投資家

新賢明なる投資家 上
ボーグルが書く本は、どれも真面目で濃密。大投資家であり、偉大な事業家であり、そしてアカデミックな探求者でもある。
ジョン・ボーグルの歴史は、アメリカの投資信託(正確にいうとミューチュアル・ファンド)の歴史でもあります。イギリスで生まれたファンドというツールは、20世紀になってその発展系としてミューチュアル・ファンドに姿を整えてウォール街に現れました。今でもアメリカには1934年生まれのファンドがあるというのですから、歴史の古さは大したもんです。その昔は、ファンドといえばみなアクティブでした。高いリターンを目指してファンド・マネージャーたちがしのぎを削っていたのです。

【関連記事】投資界の神学論争 パッシブかアクテイブか

しかし、ジョン・ボーグルは投信業界の営利優先の姿勢に疑問を持ち、1949年からインデックスファンドの研究をしていました。そして、ついに1974年彼はバンガード社を設立、翌年からインデックス・ファンドの販売を始めたのです。その後、1980年代からの確定拠出年金401kの普及により多くの国民がファンドを通じた自主年金作りに励んだこともあり、投信業界は爆発的な発展を遂げます。同時に、インデックスファンドもしっかりとそのポジションを獲得して、今ではアメリカの株式投信への資金流入額の3分の1をインデックス・ファンドが飲み込んでいます。

ジョン・ボーグルの「バンガード500インデックス・ファンド」はピーターリンチの「マゼランファンド」と世界ナンバー1の地位を争っていたくらいの代表的なファンドです。ちなみに、そのファンドの設定来リターンは14.05%です(2001年6月30日現在)。

インデックスファンドの魅力は、明解な商品コンセプトと運用目標、良好なパフォーマンスと低コストといったシンプルさにあります。

常に業界構造の変革を求めたビジネスマン


ジョン・ボーグルがインデックス・ファンドに固執したのは、この業界に対する危機感と正義感でした。彼は著書の中で次のように述べています。

「この業界が重要視しているのは運用ではなく販売であり、投資家に有害となる方法で今日の驚くべき情報技術を活用しているのである。要するにファンドの所有者の利益がないがしろにされているのである」(『インデックスファンドの時代』J・C・ボーグル著 東洋経済新報社)

こうして、彼は投資家によりよく奉仕できるように業界を再構築するために、インデックス・ファンド運用会社を設立したのです。

「ミューチュアル・ファンドの投資家が自分の正当な取り分を確保するための最善の方法は、投資家の利益の最大化を目指すファンドを所有することである。つまり、運用政策、販売方針、コスト構造のすべてが、投資家の利益という観点から決められているようなファンドである」

ジョン・ボーグルは、多くのアクティブ・ファンドが長期ではなかなかインデックスに勝てないことから、コストのかからないパッシブ運用に徹底するユニークな商品開発をしたことになります。さらに、投資家に直接販売することに挑戦したことで、購入手数料を排除したノーロード・ファンドを可能にしました。同じ著書の中でこの点に触れています。

「マーケッテイングや広告宣伝など、ミューチュアル・ファンドの所有者に利益をもたらさない分野に費やされる莫大な経費を運用会社が抑えるだけで、運用の質を損なうことなしに手数料を簡単に引き下げることができるのである」

では、そんな立派な創業者がいるバンガード社のファンドは日本で買えるのか?詳しくは次のページで
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