キャリアプラン/自己分析の方法

ビジョンと戦略の描き方(2ページ目)

在りたい未来の姿を具体的に描く前提として、自己のバリュー(価値観や理念、行動規範や自分の軸)を棚卸しし、現在の自分の“強みと弱み”を客観化する手順を示しました。いよいよ、今回は「ビジョンと戦略の描き方」です。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド

3.戦略とは何か

ゆったりとした気分で俯瞰的に戦略を考えよう!
ビジョンを具体的なゴールに置き換えることができれば、次は戦略の策定となります。在りたい姿(理想の姿)と今の姿(現実の姿)のギャップを掴むことが第一歩です。

10年後の理想の姿、中間地点の5年後、更に1年後と前倒しでイメージしていきます。「戦略」とは平たくいえば、「アクションプラン」(行動計画)のことです。

今から1年後の理想の姿に辿り着くには、どういう実績が必要か、どういう能力を構築しないといけないか、そのためには日頃どんなことをしないといけないかということになります。日常行動の仕組み化・習慣化いうことです。

このような戦略的な発想をする象徴的なリーダーとして、日産自動車のCEOであるカルロス・ゴーン氏は次のように戦略について語っています。

「戦略とは明日何をするかである」

再生請負人として日産自動車のトップに就任した際、事業再生プランを掲げ、機能横断型のチームを作り、中長期的な目標を掲げ、結果として予定よりも早く達成に導いたのでした。

その際、ゴーン氏は目標を全て数値化せよという号令を出したのです。これまでの日産自動車のあいまいだったものを一掃し、具体的なアクションプランと行動そのものを求めたのです。中長期の目標の実現のために、前に前にと考えていくと最終的には上記の言葉に凝縮されるという意です。

また、側近の方から話を聞いたのですが、トップとしての率先垂範、本当にセブンイレブン(朝7時に出社し、夜11時に退社される)とのことで、誰よりも猛烈に働かれ、プロとしての姿勢をみるにつけ、周りも働かざるを得ないとのことでした。

4.ビジョンと戦略の関係

ビジョンと戦略は不可分離の関係にあるということです。ビジョンをゴールに落とし込んで、戦略(アクションプラン)を策定するということになります。

戦略も色々な定義があろうかと思いますが、僕は国家防衛のプロフェッショナル、第一人者である佐々淳行氏の言葉が好きです。

「戦略とは悲観的に考え、楽観的に行動することである」

浅間山荘事件で陣頭指揮を執られたことは有名な話ですが、生死に関わる極限の意思決定をされた経験からの含蓄のある言葉です。

何かを達成するための取るべき行動は環境変化を考えれば、一つではなく、いくつかある訳です。僕が属する経営コンサルティングの仕事では、いくつかのシナリオを基に、取るべきアクションを考えます。最良の場合、通常の場合、最悪の場合、と最低でも3つは選択肢として考えます。

戦略を考える上で、上記のような著名人の出版物や講演を聴くことも有効でしょう。身近ですが、職場で魅力的な上司や先輩とランチや飲み会で話を聞くことも勉強になるはずです。

以上、今月は未来を確実なものとする重要なワークを披露しました。皆さんも是非とも節目として捉え、一連のワークをしてみて下さい。

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