つぼくら まさはる
東京大学医学部卒。福島第1原発から北に23kmに位置する南相馬市立総合病院にて非常勤内科医を務める。通常の診療による被災地支援の他、ホールボディカウンターによる内部被曝検査も精力的に行い、被曝に関する現地の課題に対応している。住民を対象とした放射線説明会も積極的に行っている。
外部被曝と内部被曝の人体への影響・違い
放射線による被曝には、外部被曝と内部被曝の2つがあり、検査法も対策法も異なります。一般的なレントゲン検査は外部被曝、がん検診などで行うPET検査は内部被曝。ホールボディカウンターで体内の放射線物質量を計測することもできます。内部被曝対策として気をつけるべきは食品ですが、外部被曝も内部被曝もどちらが人体に影響があり危険というものではありません。あくまでも量の問題です。
内部被曝検査結果…セシウムがほぼ検出されない理由
被災地で2013年に行われたホールボディーカウンターによる内部被曝の検査結果では、小児の99.9%以上、成人の95%以上で、放射性セシウムが検出されませんでした。半減期30年なのに、なぜ体内から検出されないのでしょうか? これには「生物学的半減期」という働きが関わっています。成人は約4ヶ月、1歳児は10日で、体内の半分の放射性セシウムが排泄されるのです。
体内の放射性セシウム量は? 内部被曝検査の現状
福島原発事故後の住民の方々の内部被曝状況は、現在もホールボディーカウンターを用いて検査されています。検査自体の所要時間は2分程度で希望者は受けることができ、2013年末までに40万人ぐらいの方が検査を受けたと考えられています。今行われている検査の方法と流れについて解説します。
1ミリシーベルト増で健康被害は?放射線被曝の考え方
放射線を体に浴びた被曝量を表現する単位、シーベルト。1ミリシーベルト(mSv)は1シーベルト(SV)の1000分の1です。日本国内の年間被曝量は1.7mSvであり、これは世界的に見ても低め。アメリカやヨーロッパに移住すると放射線被曝量は増えます。放射線量の考え方、放射線被曝による 人体への影響の考え方を解説します。
重要視すべきは放射線有無ではなく被曝の「量」
被曝に関する影響について議論するとき、一番大事な前提は、「被曝量」が問題であるということです。日常に存在する様々なリスクと同様に、被曝が「ある」か「ない」かの問題ではありません。被曝量が多くなるとリスクがあることは確かですが、まずは0か1かではなく、量の問題であることをしっかり押さえて下さい。
鼻血や下痢も被曝の症状? 誤解されがちな放射線被曝
放射線被曝による健康への影響は、放射線を浴びた量により「確定的影響」と「確率的影響」に分類されます。日常的な鼻血や下痢などの症状を放射線被曝と結び付けるのは誤りです。人体への影響の度合いについて、現在公式にわかっていることをまとめました。
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