先日、韓国のカード事情を見てきました。5年前は経済危機にあえいでいた韓国ですが、ここにきて急ピッチで回復しています。その背景にクレジットカードの普及があるといいます。
IMFの指導で財閥が解体され、金融機関の多くが外資系企業の軍門に下ってしまいました。それにあわせて、政府はクレジットカードの普及を後押しし、個人消費の活性化を図っています。
すでに、個人消費支出に占めるカード決済の割合は急速に伸びて58%以上に達しました。日本はまだ7%ほどですから、8倍以上もカードが使われている計算になります。5年前にはカードはほとんど使われていませんでしたから、その変化は目を見張るものがありました。韓国は儒教の国ですから、カードは借金という意識が強くあります。そのためカードは嫌われていたわけです。ところが今は政府が主導で全国の加盟店に端末機を設置し、国民のカード利用を奨励するという社会に変わっています。
政府が推奨するカード利用。そのウラには…
政府がクレジットカードの普及に力を入れるのは、消費の喚起とともに脱税防止の意味合いもあるようです。法人がカード決済中心に変われば、すべての出費は記録され、曖昧な利用はできなくなりますから脱税を防げると見ているのです。脱税が減れば、結果的に国家の税収が増加し、財政危機も回避することができます。
そのため毎月月末には政府主導のカード番号の宝くじイベントがテレビで生中継されます。カードで買い物をしたときにもらう利用控えに番号が振ってあって、それが当たると大金がもらえるという仕組みです。このくじがあるため庶民は無理をしてでもカードを使うようになっています。
こうした政府主導のハードなやり方は、日本ではちょっと考えられないことですが、景気回復の特効薬として、竹中金融相なら採用するかもしれませんね。ただし、何事もよい面ばかりではありません。カード利用の急伸で、多重債務者が激増し、自己破産件数も増えて社会問題になっているといいますから、やりすぎは弊害も生むことになります。
日本では実験段階の携帯電話決済が普及
もうひとつ、韓国はITがブームになっており携帯電話を使った決済が一般にも普及し始めています。韓国のスターバックスでは、コーヒーを飲むのに携帯電話で支払いができます。現代百貨店、ロッテ百貨店など一流の店でも携帯で買い物が可能です。韓国にはSKテレコム、KT、Lgの三大キャリアがあり、しのぎを削っていますが、どの会社も携帯決済には熱心で盛んにPRをしています。
いまのところ、決済の方式はUIMカードを携帯電話の中に差し込んでカード情報を記憶させます。それから、赤外線通信方式で情報をレジに送り決済をします(写真参照)。
今年から日本でもKDDIとトヨタなどが組んでKeiクレジットという名称で同じ方式の実験を始めます。わたしはさっそくその実験に参加することにしましたので、いずれ使い勝手などをご報告したいと思います。それにしても、韓国は日本の2~3年先をいっているという感想を持ちました。日本もがんばらねば・・・。
<関連サイト・携帯電話決済を導入している日本企業>
Keiクレジット(KDDI)
moog(モーグ)日本信販
Cmode(シーモード)コカコーラ+ドコモ