「忘れ物」を探して歩こう! 横浜美術館会場

横浜美術館会場では、序章~第7話までの作品が展示されています(第9話はイベント)。こちらでは、アーティスティック・ディレクターの森村泰昌氏が、自ら展覧会の見どころを紹介する音声ガイド「ボイナビ」(500円)が用意されています。作品について深く知りたいならば、ぜひ聴きながら鑑賞してください。解説がわかりやすく、おすすめ!

では、気になった作品のほんの一部を紹介します。

第1話:沈黙とささやきに耳をかたむける

作家が創作過程で感じる心の流れや、外界/鑑賞者に向ける思いを示す、4つのフレーズが描かれています。「沈黙の絵画」といえる作品のひとつ。木村 浩《言葉》1983

作家が創作過程で感じる心の流れや、外界/鑑賞者に向ける思いを示す、4つのフレーズが描かれています。「沈黙の絵画」といえる作品のひとつ。木村 浩《言葉》1983

8つの青い風船のオブジェは3ヵ所に展示されています。ギムホンソック《8つの息(MATERIAL)》2014

8つの青い風船のオブジェは3ヵ所に展示されています。ギムホンソック《8つの息(MATERIAL)》2014


第2話:漂流する教室にであう

釜ヶ崎芸術大学の作品・活動を紹介するエリア。森村氏が「忘却の町」と呼ぶ、日雇い労働者の町としての歴史をもつ大阪市西成区の釜ヶ崎に開校した、生きるための学びの場です。これまでの参加者が制作した書、詩、写真、講義の様子を伝える講義ノートなどが展示されています。「釜ヶ崎芸術大学 in ヨコトリ」と題した講座やTAKIDASHIカフェを開催予定。くわしくは→こちら
展覧会の中で一番わかりやすい?undefined釜ヶ崎芸術大学《それは、わしが飯を食うことより大事か?》2014

展覧会の中で一番わかりやすい? 釜ヶ崎芸術大学《それは、わしが飯を食うことより大事か?》2014


第3話:華氏451はいかに芸術にあらわれたか

ここでしか読むことができない、《Moe Nai Ko To Ba》2014

ここでしか読むことができない、《Moe Nai Ko To Ba》2014

《Moe Nai Ko To Ba》はレイ・ブラッドベリの小説『華氏451度』へのオマージュとして特別に作られた“世界でただ一冊の本”。スターリン政権下に口伝で残されたアンナ・アフマートワの詩、ナチスの爆撃を避けて空っぽになったエルミタージュ美術館を描いた素描、志賀理江子の写真などが収録されています。一人ずつ書見台に立ち、自由に閲覧できます。

会期中は随時さまざまな言語で本を読み上げる「リーディングパフォーマンス(※)」が行われるほか、ヨコトリの会期終了後には、「消滅パフォーマンス」によって「忘却の海」に消えゆく運命にあります。
※11:00~、15:00~、夜間開館日のみ18:00~。実施しない日もあります。

《Moe Nai Ko To Ba》の正面に見えるのは、大きな砲弾を十字架で囲んだ、エドワード&ナンシー・キーンホルツ《ビッグ・ダブル・クロス》1987-1989。

第4話:たった独りで世界と格闘する重労働

バルーンはため息をかたどったもの。空中に浮かぶ人形は、困難な状況に身を任せているようにも、迷いを抱えながら新たな世界に飛び込んでいくようにも見えます。福岡道雄《飛ばねばよかった》 1965-1966

バルーンはため息をかたどったもの。空中に浮かぶ人形は、困難な状況に身を任せているようにも、迷いを抱えながら新たな世界に飛び込んでいくようにも見えます。福岡道雄《飛ばねばよかった》 1965-1966

来場者が持ち込む「ほこり」を感知して楽譜を自動生成し、自動演奏する作品。作家自身がもらい受けたことを忘れていたオルガンを再構成したのだとか。毛利悠子《アイ・オー──ある作曲家の部屋》2014

来場者が持ち込む「ほこり」を感知して楽譜を自動生成し、自動演奏する作品。作家自身がもらい受けたことを忘れていたオルガンを再構成したのだとか。毛利悠子《アイ・オー──ある作曲家の部屋》2014


第5話:非人称の漂流~Still Moving

巨大な赤い法廷、緑のテニスコート、青い監獄という3つの「MODEL」と「横浜トライアル(=裁判)」という5つのCASE(審議・器)から構成された作品。「京都アンデパンダン展」での林剛氏と中塚裕子氏の10年間(1983~1993年)の創造的アーカイブとのことです。ここを舞台に全5回の裁判が行われます。→こちら
赤い巨大な裁判官の席には電動で机を打ち付ける裁判用のハンマーが設置されています《法と星座・Turn Coat / Turn Court》2014

赤い巨大な裁判官の席には電動で机を打ち付ける裁判用のハンマーが設置されています《法と星座・Turn Coat / Turn Court》2014


第6話:おそるべき子供たちの独り芝居

微生物のような形象が連なる画面構成が特徴の坂上チユキ氏の作品。《さがしもの》は唯一の彫刻作品。複雑な内部をファイバースコープで撮影した映像も見られます

微生物のような形象が連なる画面構成が特徴の坂上チユキ氏の作品。《さがしもの》は唯一の彫刻作品。複雑な内部をファイバースコープで撮影した映像も見られます

見逃し注意! 第6話の作品のひとつ、「グレゴール・シュナイダー《ジャーマン・アンクスト》2014」は、1階に降りたドアの先にあります。ドアを開けて、ぜひご覧(ご参加?)ください。

「第7話:光に向かって消滅する」は2ページで紹介した、Café小倉山内に展示されている作品『光りの港』(三嶋安住+三嶋りつ惠)、「第8話:漂流を招き入れる旅、漂流を写し込む海」は市内各所で開催されるトヨダヒトシ氏のスライドショーと高山明/Port Bのライブ・インスタレーション、「第9話:「華氏451」を奏でる」は、札幌国際芸術祭2014の乗り入れ企画となるイベントを予定。それぞれの日程は公式サイトでご確認ください。→こちら

クレジット:Installation view of Yokohama Triennale 2014

「忘却巡りの旅」の終着点にはなにがある? 新港ピア会場へ