防災/防災関連情報

建築デザインと地震災害

地震大国日本で被害に遭わないようにするには、何をおいてもまずは安全な家に住むこと。そこで建築デザインと地震災害との関係について日本有数の建築家・太細通氏にお話を聞いてみました。

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

今回は新たに家を建てよう、マンションを購入しようという人のために、JCD(社団法人日本商環境設計家協会)専務理事であり、数多くの戸建て、商業建築、地域開発に携わっている一級建築士の太細通氏に、建築と地震災害についてお話を聞いて見ました。

地震に強い建築デザインとは?

太細
株式会社西原研究所代表取締役所長。(社)日本商環境設計家協会 専務理事。港北ニュータウンセンター北エリア開発プロデュース、小港団地開発基本計画、湘南めぐみが丘基本計画、LISH町田の丘ほか、数々の都市開発プロジェクトの計画に携わる。
「建物というのはお金をかけて、柱や梁を太くすれば地震災害に強くなるというものではありません。家は頑丈にはなりますが、自重が大きくなってまた余計に部材を大きくしなければならなくなって非常に不経済な建物になってしまうからです。

建物はそのボリュームによって、重くも軽くもなく、何より全体のバランスがよいことが重要なのです。建物はもしも地震があってもまんべんなく揺れる、または全体に揺れないなどのバランスが重要なのです。簡単に言えば、石積みの家が地震に強いかというとそんなことはないのがすぐわかりますよね。

また建て増しなどを行ってしまうと、どうしても力が強い場所に集中してしまい、弱い部分があるとそのジョイント部分に力がかかって壊れてしまうことがあります。これは構造というよりは意匠デザイナーも考えていかなければいけない部分です。」

「現状、なかなか地盤の強いところだけに家を建てられるわけではないので、その場合は地盤改良、また表層改良という手段で土地の地盤を強くする方法があります。液状化してしまうような地域では支柱を支持層まで地中深く埋め込む工法が必要です。」

「マンションなどの集合住宅については古いものについては何とも言えませんが、2007年6月より13m以上の木造家屋と鉄骨4階以上の建物については構造計算が二重チェックを受けることになっています。さらに2008年から高層住宅については検査機関による配筋検査を各階シビアにみるようになりました。これによってコストダウンなどの目的による強度不足などは無くなるでしょう。

また、2009年の10月以降に竣工する建物については販売または施行業者が瑕疵担保保険に入る事が義務化します。施工上の問題があったとしてもこれにより担保されます。それ以前の建物については、万が一を考えれば自治会などで地震保険を入っておけばよいでしょう。」

よい建築士の選び方

青山
南青山にて太細氏が設計したGUESTHOUSE(WEDDING)「CONVIVION」ショールーム。氏には高級戸建住宅の設計作品も多い。
「建築士に家のデザインを頼むときには、施主自身も自分が何をしたいのか、どんなライフスタイルを考えるのかを、自分なりに持ってのぞむことが大切ですね。ただ単に自分の好きなデザインを作ってもらっても、それはいい家にはならないからです。

建築士も施主のその意見を十分に聞いたうえで、いい案を出していかないといけない。ですから自分の意見をよく聞いてくれる建築士を選んでください。自分の作品を作りたいがために、自分のデザインを押し付けるような建築士はダメですね。

そういう意味では2~3人の建築士にコンペのような形で提案をさせると良いでしょう。その上でフィーリングの会う人にお願いすればいいんです。工務店や施工業者に一括で頼むより、建築士にデザインを頼むと高くつくと思っている人がいますがそれは間違い。設計料は本体価格の10%程度と決まっていますし、安心できる、きっと理想の家づくりをすることができると思いますよ。」


【関連サイト】
西原研究所
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