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ネットオークションで騙す。【書評】

最初は探した絵画を売っていただけなのに、気がついたらサインを偽造した絵を売る詐欺師に。なぜ?どうして?法を守るべき弁護士が、世紀を揺るがす詐欺師になってしまったのか。

執筆者:堀切 美加

ネットオークションで騙す
~全米を揺るがした絵画詐欺犯の告白~

西暦2000年ミレニアムをむかえる前の1998年から、2004年までのアメリカeBayでの出来事。FBIが乗り出す大きな詐欺事件がおきました。

それは、弁護士が友人に誘われてeBayで絵画を売りはじめたことから始まりました。最初は探した絵画を売っていただけなのに、気がついたらサインを偽造した絵を売る詐欺師に。なぜ?どうして?法を守るべき弁護士が、世紀を揺るがす詐欺師になってしまったのか。
 

読みどころ

ネットオークションで騙す
ネットオークションで騙す

この作品の作者はケネス・ウォルトン。詐欺師本人である自分が起こしたオークション詐欺の実話を書きおこした作品です。重罪犯人となって、弁護士も辞めざるを得なかった主人公。オークションを始めるきっかけ、その後オークションにのめりこむ様子や、犯罪に足を踏み入れることになるきっかけ、マスコミ報道されてからの周囲の目、落ち込みなどが詳細に描かれています。訳者も訳者のあとがきで書いていたように、うっかりすると小説(フィクション)かと思ってしまうような展開です。

とはいえ、400ページにもなる本の、ほんの五分の一も読まないうちに、話はすでに弁護士である主人公が詐欺に足を一歩踏み入れてしまい、怪しい空気になっています。「え?もう?」あとはどう転落していくのか、どう捕まっていくのかを待つばかり、のような展開で、どんでん返しのような「あっ!」と驚くことはありませんが、それからの後半、友人や彼女、両親との付き合いの変化など、身の回りの出来事や作者の心の内が語られます。

最終的にはもちろん捕まってしまい、起訴され、判決が下ります。ただし判決が下る頃には、すっかり主人公は落ち着いてしまっているのですが。
 

eBay(イーベイ)とは

ちょっと、話を戻してeBayのことをご説明しましょう。

eBayは、1995年にアメリカで始まった草分け的ネットオークション。日本ではヤフオクがスタンダードですが、アメリカではなんと言っても「ネットオークションならeBay」。

かつて日本にもeBayはありました。

1999年10月に日本法人「イーベイジャパン」を設立し、2000年に日本でのネットオークションを開始し、日本語版eBayがあったのは2002年3月まで。その後、日本では手に入らない商品や、海外なら安く買える商品などを求めて、eBayファンは米eBayに参加し、いまもって根強い人気です。

>>>eBayにはまってしまったケン
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