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ネットオークションで騙す。【書評】(2ページ目)

最初は探した絵画を売っていただけなのに、気がついたらサインを偽造した絵を売る詐欺師に。なぜ?どうして?法を守るべき弁護士が、世紀を揺るがす詐欺師になってしまったのか。

執筆者:堀切 美加

eBayにはまってしまったケン

この事件の始まりは1998年。知り合いだったフェッターマンと再会して、eBayで絵を売ることを教えられた主人公のケン(ケネス・ウォルトン)は、eBayで手に入るお金と、そのワクワク感に、あっという間にeBayにはまっていきます。

フェッターマンは怪しい絵画をたくさん持っていました。本物ではないのに本物のようなサインをしてある絵。恐らくフェッターマンがサインを加筆するなどして、絵画に偽造のようなことを施しているのだろうと思いながら、それをやめさせることもなく、その絵を突っ返すこともなく、不快に思いながらも、ケンはフェッターマンの持っている絵を出品・販売を続けました。

ケンはそれを出品することを拒むことができないほど、eBayにはまっていたのではないかと思います。

  • 本物であるとは言っていない
  • 私は何も知らない
  • 私は偽造などは一切していない

これらを言い訳に、ケンは生活のために怪しい絵を売り続けます。

「やめよう」と思っていてもやめることができなかったことや、eBayで絵を売ることをやめた後の、コンピュータープログラムへの傾倒具合などを見ると、ケンには何かに依存するような気質があったのではないでしょうか。まだ弁護士事務所に勤めていている頃の「弁護士としての仕事をしなければいけないのに、ネットオークションが気になって、仕事が手につかない」状態などは、依存気質の強い私自分を見るような感じすらします。
 

骨董品店で見つけた8ドルの絵が13万ドルに

骨董品店で見つけた8ドルの絵が13万ドルに
これがFBIに目をつけられるキッカケに

骨董品店で見つけた絵に、つい自らサインを付け加えてしまったケン。そして出品。フェッターマンたちとサクラ入札を繰り返し、骨董品店で見つけた8ドルの絵は13万ドルに。

これが目立ちすぎてしまい、ケン自身がサイン偽造をしたのはたった1回だけにもかかわらず、マスコミで大きく報道され、注目された結果、絵の真贋が厳しく問われることになってしまいました。

頭を抱えるケン。このあたりのくだりでは、作者の「早く見つかって欲しい」「もう終わらせたい」という気持がハッキリ読み取れて、「ああ、やめてしまえばいいのに」と、作者に感情移入してしまいます。

>>>問題はなに?

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