一般の人の、犬・しつけに関する意識はいかがですか?
ドナウ運河のほとりにある砂浜バーでくつろぐ犬。このコの後ろにDixieちゃんがいるそうだが、互いに頓着せず。これが普通のウイーンの犬達の姿だそう。 |
Eggiさん:
“犬を犬のままの姿で愛する”といった意識が強いように感じます。グルーミングもシャンプーも日本ほど小まめにはしませんし、食事も日本人ほど手をかけません。犬のオモチャや洋服を買いあさる情熱も、日本人ほど強くないと思います。
その代わり、犬とのお散歩や犬連れ旅行、犬連れハイキングなどには、時間とお金をかける人が多いですね。犬は特別な存在ではなく、ただ、愛すべき家族の一員ですから。
しつけに関する意識は、これもちょっと日本人の考え方とは違うように思います。犬のしつけの本に頼る人は、ほとんど見かけません。専門書は各種出ていますが、わざわざ何冊も購入して読むのは、多分、犬の専門家ぐらいだと思います。これも、犬の飼い方を専門書から習う必要がないほど、犬との生活が社会に密着している由縁ではないでしょうか。
オーストリアでも犬を巡る環境は変化していますか?
Eggiさんもトレーニングの場としてドッグゾーンを使うことがよくあるそう。 |
はい、この30年の間に、確かにウイーンの犬事情も変わってきました。かつてのウイーンは、犬の楽園の名に相応しい街でしたが、近年は犬禁止地域が増えたり、ノーリード禁止地区が増えたりして、犬好きには住みにくい街になりました。それでも、他の都市に比べれば、まだまだ犬達に大らかな街です。
ウイーン人も、未だに犬の好きな人が多いです。レストランに犬連れで訪問しても、嫌な顔をする人はいませんし、席につけば、当然のように犬のお水やクッキーを持ってきてくれますから。犬を見て嫌な顔をする人は、お国や宗教の違いから、また犬嫌いな教育ママなどで、犬との社会性を築く環境が乏しかったせいではないでしょうか。昨今では、無責任な飼い主の数と、犬に対してヒステリックな若い母親の数が増えています。飼い主の責任感の欠如か、あるいは、人種の混合か、何が原因なのかは定かではありませんが。
それに比例して、犬禁止区域も増えました。現在では、公共のドッグゾーン以外は、ノーリードは禁止ですし、児童公園も犬禁止になりました。以前は、児童公園で自分の子供を遊ばせながら、その辺を徘徊している愛犬を見守る若い母親の姿を見かけましたが、今はそれすらできません。子供と犬がいる家族は、きっと大変だろうと思います。
オーストリアの犬環境で、これはいい!というものは?
Eggiさん:次のようなものを挙げることができます。
●犬のいる社会が、ごく普通のこととして受け入れられている点。
●動物保護法及び犬保護法が、ほぼ全面的に動物の立場に立っている点。
●犬の申告義務制度。
●マイクロチップ義務制度。
●ノーキルシェルター。
●犬虐待禁止制度。 など
最後に、海の向こうから日本の犬事情を見た感想、そして日本の飼い主さん達へのアドバイスを頂きました。