「文章を書くというのはすごくこわいことですけど、やはりいいことも悪いこともお伝えしておかなければいけない。人間っていいことしか耳に入りませんよね。副作用あっても大丈夫だって思っちゃうから、それはまずい。だから毎回毎回書いてお見せしています。そうすることで飼い主さんの安心度が高まるし、一緒にやっていこうという気合いも入る。
それと、僕らにしてみればこのクスリを使えばこの程度の下痢は当たり前だと思っていて、たんに下痢が出ますと書いても、飼い主さんにとっては一大事だったりするわけです。ええっ、そんなことになっちゃうのって。だからそこまできちんと理解していただいて、実際にそれを自分の動物にしてあげたいかどうかを確認してもらいます」
書くということは、何よりあとに残るということですから、自分の知識と見立てに対して自信がなければならないということでしょう。
南先生は、世界トップクラスの動物病院のひとつ、NYのAMC(アニマル・メディカルセンター)に勤務したこともあるのですが、アメリカから日本に帰ってこられたとき、こんなことを思われたそうです。
「アメリカでできる治療が日本でできないなんて悔しいですよね。いまはペットも家族の一員ですから、できるだけのことをしてあげたいと言われる飼い主さんも多い。そんなときに日本ではそこまでまだできませんと言いたくない。飼い主さんさえ望めばひとつ上の医療もできる、そんな世の中にしたいと思うんです」
そんな決意がCTやMRIなどの高度な医療機器を入れるきっかけになったとか。 もちろん組織や細胞を取ってガンかどうか、あるいはどのタイプのガンかを見極めるバイオプシーと呼ばれる検査のエキスパートでもある先生は、きょうも動物のガンと向き合って闘われています。ここ成城にも、あちこちの動物病院からの紹介で、千葉などの遠方からも患者の犬たちが連れてこられていました。
東京にも伊賀と同じようなMRIや放射線治療器を入れた高度医療の病院をつくりたいというのが南先生の当面の目標だそうですが、そんな病院ができればほんとに安心ですよね。期待して待ちたいと思います。
★集合写真 右から南先生、三品先生、AHTの阿川さん、浜田先生、 そして病院のアイドル犬のタクちゃん |
※2005年1月現在、成城の分院にはCTはありません。
いまは分院である「ベイサイド・アニマル・クリニック」(横浜)に最新鋭の機種が導入されています。
くわしくはこちらをご覧ください。
■サイバーペットクリニック(2004年8月現在閉鎖中)
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