まねっ子?リタイア離婚は大失敗! 大迷惑!
C子さんには10年前から決意がありました。夫が定年退職になったら退職金を半分もらって離婚しよう。でも、夫がすんなりと承諾するわけはないだろう、必ずもめるだろう。でも、とにかく夫に縛られて老後を生きるのはいやだ、趣味も考え方も性格も合わない夫と、毎日昼間まで一緒に過ごすのには耐えられない、そう思っていました。
夫が定年退職になった翌日、C子さんは離婚を切り出しました。すると意外にも夫は二つ返事で「わかった」。退職金を分ける話も預金を半分もらう話もすんなり承諾。これにはC子さんは拍子抜けしてしまいました。
離婚の話はとんとん拍子に進み、二ヵ月後には離婚届けを提出する運びとなりました。その間嬉しいはずの気持ちが、だんだん迷いと不安でいっぱいになってきたのです。
実はC子さんの大学時代の友人二人がやはりリタイア離婚をして、いきいきと自由に独身生活を楽しんでいるのを横目でみていました。私だって彼女たちのようになるのよ、そう思い、かなり彼女たちの影響を受けていたことに気づきました。
でも、自分から言い出したのだし、今更後には引けず、勢いでとうとう離婚成立となりました。それからというもの、C子さんは夫が気になって気になって仕方がありませんでした。あの人は食事の支度から洗濯から何一つ自分でできないのに、私がいなくてどうしているかしら…? そこでとうとう離婚一ヶ月後、長年暮らした夫の家を訪ねたのです。
すると、驚いたことに夫のうちには女性がいました。全身に震えが走り挨拶もそこそこにバツの悪い思いをしてそそくさと帰り、すぐに離れて暮らす既に結婚している娘に電話を入れたのです。
「お父さんに女がいるのよ。まさか離婚前からあの女とできていたから、あっさりと離婚に応じたのかしら? だったら慰謝料を請求し直さなきゃ」
「お母さん、あの人は家政婦さんよ。私が手配したの。お父さん何もできないし、私は遠くて行ってあげられないでしょう。そんなにお父さんが心配ならなんで離婚なんてしたのよ! 」
そこでC子さんは気づいたそうです。今の自分の気の動転ぶりから、元夫への愛情に。夫は確かに無口で無趣味で自己中心的で頑固だったけど、娘を持つという喜びを与えてくれて、娘の成長を共に見守り育て上げ、一家を支えてきてくれた偉大なる夫だった…。
自分がいかにわがままだったか反省し、離婚を後悔し一晩泣きとおしたC子さん。朝一番で元夫に電話を入れて元夫の家に行き両手をついて謝ったそうです。そして「どうかもう一度この思い出の家に私を置いてください」。
すると元夫は「それがいいでしょう」と一言。C子さんは40年近く毎日暮らしてきた夫なのに、この時初めて会ったときのようなトキメキを感じたそうですよ!
リタイア離婚をしてもこんな復縁バージョンもあるのですね。リタイア離婚はよくよく考えてからした方がよさそうです。でもひとりになってみないと見えてこないものって確かにあるんですよね。それからどうしても我慢できない人以外は、2007年春の年金制度改正を待つべし!!
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