事件・1
お互いに夫の暴力に悩んでいた主婦の友人同士AとBが、それぞれの夫の殺害を計画。協力して一人の夫を殺害した時点で、逮捕された。この時、中学生の息子も父親の殺害に手を貸していたことが判明し、衝撃を与えた。
<事件・1>の主婦たちを、ここまで追い詰めたものは、何だったのでしょう。夫の暴力による耐え難い苦しみと、将来への絶望は、「夫を亡きものにする」という以外の解決策を、見出せなくさせるほどに息苦しかったのか・・・。友人同士だった二人の主婦は、どちらかといえば子だくさんで、傍目には幸福な、平凡な家庭を営んでいるように見えたのかもしれません。か、子だくさんという事例は、時に、夫の避妊に対する非協力を示す材料にもなるのです。身体的、精神的、性的暴力の全てが密室で行われるのが「夫婦間暴力」、DVの特徴ですが、この事件を犯罪にまで発展させないためには、何が必要だったのでしょうか。
小島弁護士は、その見解をこう述べます。
「方策といっても、やはり早期治療しかないんですよ。殺すくらいなら、離婚を選択する。離婚のための情報を集めたり、自立できる力を身につけて、何とかして手段を探すんです。それは確かに大変なことですけれど、社会福祉や警察を利用して、自分の立場を良くしていく方法を考えなければいけません。アメリカでは、夫のひどい暴力に耐えかねた妻が、寝ている夫を絞め殺すという事件も多いですよ。それを正当防衛と見なす女性もいるくらい。継続的に暴力をふるわれて精神的におかしくなって、追い詰められて殺したのだから、一方的に責めることはできないだろう、という方向で運動を行っている人もいます。もちろん、そういう運動に対する批判も出ていますが・・・」