離婚/離婚を決意する前に

その離婚、我慢が足りないだけかも? 安易な離婚の防ぎ方

「その離婚、本気で言っているの?」というような内容の相談がよくあります。我慢が足りないのでは? と感じることもしばしば……。離婚以外の方法でも解決できるんじゃない?」と思うことが少なくありません。今一度よく考えてみましょう。

岡野 あつこ

執筆者:岡野 あつこ

離婚ガイド

<目次>

我慢が足りない離婚とは? 安易な離婚、ちょっと待った!

その離婚、我慢が足りない?

その離婚、我慢が足りない?

私の離婚カウンセリングでも、「その離婚、本気で言っているの?」というような内容の相談がよくあります。それはDVや借金など本当に深刻な相談をも頻繁に受けている私から見れば、「その位のこと我慢しなさい。離婚以外の方法でも解決できるんじゃない?」というようなことなのです。でもご本人にとっては、「婚姻生活を継続し難い重大な事由」なのですから、周りや私が何と言おうと本人たちが合意に至りさえすれば即離婚は成立してしまうのです。
 

安易な離婚1:結婚自体が安易な決断

私の過去の相談例から見て、安易な離婚を決行してしまうカップルには2通りあるようです。1つめは、元々の結婚自体が安易な決断からなっていた場合です。その中でもまた色々とあるのですが、分かりやすい例で言うと、無計画な状態でのできちゃった婚や年齢を意識し過ぎて焦った結果の駆け込み婚やら、この相手が自分の一生のパートナーとして相応しいのかどうか、じっくり考えて心から納得して、しかも愛情は何にも代え難く本物だという、完璧な完全無欠の結婚をしていないんです。勿論完全無欠の結婚をしても離婚に至るケースもあるのですが。つまり元々が安易な結婚だったために、離婚へのハードルも低いというわけなのです。
 

安易な離婚2:我慢が足りないだけ?

さて2つめは、寛容さが足りないというべきか、我慢が足りないというべきか、単なる我が儘といったらいいのか、極論に達しやすいというか……とにかく、夫婦の問題はそれぞれどんな問題であろうとご本人にとっては重大には違いないのですが、客観的に見て、その程度の問題はなんとかなるでしょうが、としか考えられない些細なことが気に入らなくて離婚してしまう。そんなことで、離婚していたら何回でも離婚しなくちゃならなくなるよ、と説得するのですが。こう特に女の人は結婚というものに憧れとか夢を抱きがちなんですね。夢見る夢子さんなんですよ。結婚生活に対する理想がどんどん膨らんで、いざ結婚してみたら、理想と現実とのギャップの大きさに愕然としてしまい、こんなはずじゃなかった……となってしまうのです。

結婚を長続きさせる秘訣とは妥協と忍耐と諦めなんていいますけど、それができるということは、本当に立派なことです。どうもイマドキは忍耐とか辛抱とかは流行らないようですね。一度結婚したからにはどんなことがあっても別れない! という強い信念と覚悟を持つ人は少なくなっていますね。
 

パートナーよりも、一番可愛いのは自分?

夫婦の間の気持ちや考え方・価値観のズレから離婚に至る場合、その根っこにあるのは、愛情の「愛」がなくなったということだったりするのです。元々別々の家庭環境に育った他人同士、気持ちや考え方・価値観が違うのは当たり前。それでも結婚したのは愛情があったから。でも好きだ、愛しているだのっていうのは最初の3年くらいでしょう。3年も経てば、愛情の「愛」が取れて、「情」だけになっていく。「愛」があるうちは、相手への思いやりも深いですから、自分と違った価値観もそれはそれとして、認めることができる。でも「愛」がなくなって情だけになってしまうと、相手に対する思いやりも薄れて、自分がドーンと前面に押し出されていくわけです。「なんであなたは○○じゃないの? 普通は○○でしょう?」と自分の価値観を相手に押しつけるようになります。そこで諍いが起きてしまい、お互い譲歩しない場合、破綻ということになってしまうのです。

また、人間自分の都合のいいように物事を解釈しがちです。そこからスレ違いが起きて夫婦関係が悪化することも多いのです。例えば、ある奥様は結婚直前に今の旦那様に100万円ほどの借金があることを知りました。その時は、えっ? と一瞬思ったものの、彼の仕事ぶりからしても「100万円くらい大したことはないでしょ。すぐ返せば大丈夫なんでしょう? 」と訊いたのです。すると「すぐ返すから大丈夫」というので、あまり気に留めなかったのです。しかし、結婚をしてみると、100万の借金は返すことは返すのですが、また新たに借りてくる、額は増えないもののその繰り返しでした。夫は自営のストレス解消のために毎週土曜日にはギャンブルに通い、軍資金がなくなるとサラ金で調達するのでした。不安を感じた奥さんは、「結婚前には、すぐ返すから大丈夫って言ったのに、返してもまたすぐ借りるのでは全然大丈夫じゃないでしょ!」と旦那に言いました。すると旦那様は「100万円くらいの借金、すぐ返せるなら大したことない、ってオマエ認めただろう!?」と言うのだそうです。コレです。スレ違いが起こる原因、お分かりいただけましたか? 奥様の言い分はまぁ常識的な奥様の立場としては当然ですが、結婚前に話したとき、今は100万円借りているけど、すぐ返すからその後は借金はゼロになると解釈したわけです。でも旦那様は、100万円くらいなら借金していてもいいよ、と奥様に許可を貰ったと解釈していたわけですね。

この奥様はサラリーマン家庭に育ったためか、借金というものには非常に悪いイメージしか持てないわけです。でも、元々自営の家庭で育ち、そのまま後を継いだこの旦那様はギャンブルの借金も資金繰りの1つ程度にしか考えていないのです。奥様としては子どもができたこともあってか、ギャンブルなどやらずに、余分なお金があれば少しでも多く貯金がしたい、でも旦那様はギャンブルでストレスを発散させるからこそ、翌週も仕事に精を出すことができる……。

私はこの奥様に、「そんなに旦那様のお金の遣い方が気に入らないなら、あなたが育った家庭のお父さんと似たようなサラリーマンと結婚すれば良かったのよ。でももう今更遅いでしょう。だからそういう旦那様の生き方を認めてあげるのが、自営の男の妻の勤めなの。督促や取り立てが来るようになったわけじゃないんだから、もう少し太っ腹な妻でいきましょう。あなたはあなたで生活費を賢く節約して貯金に回すようにするとか、旦那様がもっとおまえたちのために仕事を頑張るぞ! という気持ちになれるようなあったかい家庭の雰囲気を作る努力をするとか、そういう方向に心を向けましょう」とアドバイスしました。奥様は納得してすっかり笑顔になって帰りました。自分の都合のいいようにばかり物事を解釈せず、相手の立場などを考えた上で思いやりを持って接することができれば、夫婦のスレ違いも安易な離婚も防ぐことができるのですが。


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