頑張りすぎて、余裕をなくさないで
独身時代、センス抜群で自慢の恋人だった夫が、結婚した途端に所帯じみ、穴のあいた靴下すら「家計を助けたいから」と平気ではいていくようになったら、どんな気持ちになるでしょう。その健気さには心打たれても、「昔のあの人の方が素敵だった」と、かけらでも心をよぎらないと言えるでしょうか。むしろ、時には1500円のランチを食べてきたっていいのです。
家族で外食する時に最新の知識を交え、楽しい話題を提供してくれる夫なら、その1500円だって無駄に感じません。反対に、夫が500円のほかほか弁当だけを毎日食べ続けた結果、「俺はいつも始末しているのに、外食なんてもったいない」と目をつり上げたらどうでしょう。この人が、あの素敵なデートに連れ出してくれたハンサムと同一人物かしらと、「仕方ない」とは思いつつ、がっかりしてしまいます。また、そんな相手にロマンチックなムードなど望むべくもないことは、わかりきったことでしょう。
自分らしく自分を保つことと、わがまま、身勝手とは、根本的に違うものです。自分で自分の価値観や立場を守れないでいて、誰が代わりにそれを守ってくれるでしょうか。顔で笑って心で泣いて、自分を殺して周囲に合わせているのを見抜いてくれるような親切な人は、どこにもいないのです。