それでは実際のケース(2例)を見ながら学んで頂ければと思います。
「ケースA」真面目な夫との“リストラ離婚”で財産分与を獲得
夫:50歳、妻:45歳 結婚生活23年
子供:18歳/16歳
慰謝料0円、財産分与1500万円、養育費0円、弁護士費用0円
S代さんは45歳のとき、23年の結婚生活を共にした夫に離婚を言い渡しました。そのとき夫は50歳、それまで真面目に働いて来た会社をリストラされたばかりのときでした。今まで浮気をしたこともなければ、暴力を振るったこともない、口うるさく干渉したこともない夫に対する、まさに“リストラ離婚”だったようです。
しかし、会社を解雇されたから離婚したいと思ったのではありません。実はS代さんは20年以上も前から離婚を考えていたのでした。最初の子供を流産したとき、精神的にも身体的にも不安定になっていたのに、夫が何の支えにもなってくれなかったことが、“離婚”を考えるきっかけだったと言います。その後二人の子供に恵まれましたが、その時の恨みはずっと心の底に残っていたそうです。事実、夫は仕事ばかりで家庭を顧みず、家事も子育ても全てS代さんの肩に掛かっていました。
今では高校生になった二人の娘たちも「パパみたいに仕事のことしか頭にない男の人はいや」と言っているとか。父親参観日にも運動会にもS代さんしか来なかったのを今でも忘れていないそうです。
夫は仕事をやめ、ようやく家庭に戻ったときのことだったので、ひどくショックを受けたようでしたが、S代さんの今までの気持ちを聞くと、泣きながら謝罪し、家を売った現金の2分の1、1500万円を財産分与として支払ってくれたそうです。
現在、S代さんは実家に戻ってパート勤めをしています。子供たちにはほとんど手が掛からなくなったものの、これからは高齢になった両親の介護が待っていると覚悟を決めているそうです。