離婚調停の申し立ての件数は、圧倒的に妻側からのものが多い現状。その中でもお金にからんだ申し立ては、いつの時代でも上位に入っています。とくに「生活費を渡さない」夫を持って苦労した女性を、私は何人も見てきました。
「妻も働いているから、それぞれの給料は好きなときに使っている」というような例はともかくとして、「妻には家にいてほしい。でも生活費は入れたくない」なんていうとんでもないケースもあるのです。ここではそうした結婚生活にピリオドを打った、ある女性のケースをご紹介しましょう。
●仕事が長続きしない夫
私の近所に住むT子さんは29歳。相手のU氏とは職場恋愛の末、結ばれました。T子さんは結婚後も働く意志がありましたが、「生活が落ち着くまでは」といった程度の気持ちで、一時退職をしました。しかし結婚してから判ったことですが、U氏はかなりの亭主関白。「女房は家にいるものだ」とT子さんがパートに出ることも嫌がります。いくら復職したいと願っても、「みっともない」といって世間体を気にし、頑として反対するのです。
そのくせ、自分ではひとつの仕事を長く続けることができず、10日行っては辞め、1ヶ月行っては辞めてしまうといった具合。どこへ行ってもすぐケンカしてしまうタイプの夫で、上司や同僚と折り合いが悪くなって辞めてしまうのが、その理由でした。その方がどんなにか「世間的にみっともない」ことなのに……。